朝会の話 96 あなたはいじめに関係がないか

 おはようございます。
 11月の終りに愛知県の中学2年生、大河内清輝君が、いじめのため自殺してしまいました。このニュースを聞いて先生はとても悲しくなりました。そして、いろいろな先生の教え子のことを思い出しました。
 ここに一人の女の子の5年生になった時に「わたしの心配なこと」という題で書いた作文があります。それを読んでみます。
 私は3年生、4年生の時、動作がにぶいとか、態度がはっきりしないとか、性格が暗いとか、理由はよくわかんないんだけど、きたねえとか言って、いじめられたことは数えきれないくらいあります。
一番くやしかったのは、4年生の2学期、掃除のときです。その日、教室の当番は、男の子が4人、女の子が3人、7人でやっていました。
 私が一生懸命掃除をしているのに、4人の男の子が、つぎつぎに、足かけで私を倒します。私のひじから血が流れてきました。私は、痛くて痛くて、それよりもくやしくて、くやしくて、とうとう声を出して泣いてしまいました。すると、男の子たちはよってきて、
「おめぇ、掃除当番だろ。泣いていいのか。ちゃんと掃除やれよなっ。わかったかっ」と言って、ゲラゲラ笑っていました。女の子たちも何も言わずに、ただ見ているだけでした。
 一人で学校から帰るとき、私は死のうと思いました。
 翌日、20分休みに学校の屋上に行きました。目立たないなしのほうに行きました。屋上のフェンスを乗り越えて、飛び降りればいいんだわと思って、フェンスの内がわから下をみると、コンクリートが白く光っています。
 じっと見ていると、お母さんの顔が目の前にうかんできて、胸がドキドキしてきてとまらなくなりました。そして、わたしはもうそこにいられなくなり、教室にもどってないていました。
 この子は、作文に私の心配なことを思い切って作文に書いたため、この子に対してのいじめはなくなり、とてもいいクラスに変わっていったのですが、このように思い切って作文に書けないことがあります。
 先生が担任したクラスにもいじめが起こっていました。クラスの勇気のある一人の子の日記でいじめのことが分かり、ひどくなる前に解決をしたのでよかったのですが、なかなかいじめはなくなりません。
 ある時、直接にはいじめにかかわっていない子に話をききました。その子たちは、友達だちがいじめられているのを見ているのですが、それを先生に知らせることをしなかった子なのです。「なぜ、日記に書いたり、先生に言ったりしないのですか。」と聞くと「いじめに見たとき、先生に言ったりすると自分がいじめられるからこわいんです。」とかいじめを知っていても、知らないふりをして、それから、いじめを見て見ないふりをしていたほうが、安全なのです」とか「いじめられ役が自分に回ってこないようにするため、いじめ役のほうにいた方が安心だから」と言ってくれました。
 先生はその子たちにひどく叱りました。「あなたは直接いじめてはいないでしょう。しかし、それはいじめているのと同じことなのです。その心が、人をいじめる子になっていくのです。」と。
 みなさんはどうでしょうか。ほとんどの子は、人をいじめてはいないでしょう。しかし、知っていて知らないふりをしてはいませんか。見ていて見ないふりはしていませんか。それでは、いじめはなくなりません。
 もし、愛知県の中学生の中で一人でも勇気を出して作文や日記に書いてくれていたら、清輝君の自殺という悲しいできごとはなかったでしょう。
 みなさん、いじめなんか許して、みんなびくびくいじけているようなそんな学級に学校にはしたくないでしょう。先生もそう思います。一人一人が勇気を出して、いじめを許さない学級に、唐櫃小学校にしていきましょう。1994年12月12日