朝会の話 95 大事なランドセル

 おはようございます。
 毎朝みなさんは元気で学校にきています。とてもうれしいです。
 1年生の子のランドセルはまだ新しくピカピカに光っています。2年生の子のランドセルもまだまだ新しいです。ところが、3年生ぐらいにならると、1年生の時に使っていたランドセルを背負ってくる子が少なくなってきます。ある子に、「もうランドセル壊れてしまったの」と聞きました。すると、「まだあるよ」と言ってくれました。「じゃ、それなぜ持ってこないの」と聞くと「かっこ悪いもん」と答えました。4・5・6年生になってくると、もう壊れてしまったか、それともかっこ悪いと思っているのか、1年生の時に買っていただいた、ランドセルを背負って来ない子がとても多くなります。
 このごろのランドセルはとても高い値段です。その代わり、とても丈夫にできています。先生の子はもう13年前に小学校を卒業しましたが、6年間ランドセルを使っていました。2番目の子はとても元気者でした。ランドセルを何回か痛めました。でも、ランドセルを買った所に持っていき、修理をたのみました。安い値段で修理をしてくださいました。このごろのランドセルはもっと丈夫になっています。ですからそう簡単に壊れることはないようです。
 6年生の子で何人かは1年生の時に買ったランドセルを背負って学校にきています。ちょっと窮屈そうなので「まだ、そのランドセル背負えますか」と聞きました。「大丈夫です」と答えてくれました。
 ある本を読んでいると次のような詩がのっていました。
     ランドセル      6年  藤井 俊夫
  1年のとき
  ぼくにおともして入学した
  ランドセル
  2年の頃から
  ベルトをちぎったり破ったりした子もあったのに
  3年 4年と……一年一年
  ランドセルの数がへってきたのに
  そして 6年になったら
  とうとうぼくだけになってしまったのに……
  だから ぼくは
  ちょっぴりはずかしんだ
  でも ランドセルのマラソン
  一人二人と……と つぎつぎ失格していって
  ぼくだけが走り続けていることが はずかしいことだろうかと
  考え直して
  きょうもぼくは
  ランドセルを背負ってきた
  もう あと 4か月で卒業
  やっぱりちょっぴりはずかしいが
  今まで 世話になってきたランドセル
  こんな所で失格させては申しわけない
  もうあと4か月
  ランドセルよがんばってくれ
  ぼくもがんばる
 この藤井君は卒業までの6年間ランドセルを使って卒業しました。
 1年生の時に、入学おめでとうという気持ちで買ってくださったランドセル、どこかに眠ってはいませんか。
 お父さん、お母さん、おじいさん、おばあさんの暖かい気持ちがいっぱいつまっているランドセル、押し入れの奥で泣いてはいませんか。
 1年生のときに、入学した喜びにいっぱいになったランドセル、「さびしいな、いっしょに学校に行きたいのに、いっぱいのランドセルのお友達と、お話したのに、一人でぼつんとさびしいよ」と泣いていませんか。その声を聞いたら、是非出してあげましょう。そして、きれいに体を拭いてあげましょう。そして、いっしょに学校に連れてきてあげましょう。
 大切な大切なランドセル。その声を是非聞いてみてくださいね。
1994年12月5日