消える日本語

 先日電車の中で、「文芸春秋」12月号の広告が出ていました。大きな字で「消える日本語」という文字を見ました。
 その中に特に気になったの「おはよう」「ごめんなさい」「ありがとう」「ごちそう様」という言葉です。
 これらの言葉は、全世界で自然に使われている言葉です。幼い頃から培われてきた言葉です。毎日の生活の中で必ず使う言葉です。学校でも必ず指導していく言葉です。
 しかし、残念なことに、今日の子どもたちだけではなく多くの若者が、いや大人たちでさえも使うことが少なくなってきています。
 わたしが、校長をしていた時もこれらの言葉を子どもたちが使えないことに驚きました。そのため、毎朝子どもたちを校門で迎え、こちらから「おはようございます」と声をかけました。なかなか、子どもたちから「おはようございます」という言葉が聞けませんでした。
 4月の終わりのPTA総会でお母さん方に「皆さんのご家庭で、毎朝最初に声をかけられる言葉何でしょうか。『早く……しなさい』という言葉ではありませんか。どうか、その言葉を止めにして『おはよう』という言葉を毎朝最初に子どもに語りかけてください」と話しました。
 その後、子どもたちから「おはようございます」と声をかけてくれる子が増えてきました。
 また、教え子の中に「ありがとう」という言葉を常に使う子がいました。お母さんとお話をした時に、その原因がよくわかりました。それは、お母さん自身が子どもに「ありがとう」という言葉をよく使われていたのです。
 「おはよう」「ごめんなさい」「ありがとう」「ごちそう様」という言葉を日本語から消えさせてはなりません。また、「おはよう」ということばを「おっす」と言わせたくはありません。正しい日本語で挨拶をさせなければなりません。そのためには、親自身が美しい日本語を使っていかなければなりません。美しい日本語を残すために親自身がもっともっと美しい日本語を使っていきたいものです。
「それを行うときに、あなたがたは祝福されるのです。」ヨハネ13章17節 グッドニュース2006年2月号「母と子の相談室」より