内面化させるしつけ方

 先日、小学4年生の子どもたちが、教師の引率で遠足に出かけている状況を電車の中で見かけました。大変に行儀良く、静かであり、お年寄りの方には進んで席をゆずっていました。大変気持ちのよい子どもたちでした。教師であった者がこんな姿をみると本当にうれしいものです。
 ところが、それとは逆の状況をも良く出くわします。夕方塾にいく子どもたちは、まったくそれとは逆です。かばんを自分の脇におき、おやつを食べながら、友達同士わいわいと騒ぎながら座っています。前にお年よりの方が来られても知らん顔です。
 わたしは、「自分のかばんを膝の上において、お年よりの方を座らせあげなさい」と声を掛けました。子どもたちは不満顔でわたしの顔をじっと見ながら、何とか一人のお年寄りを座らせてあげました。
 この子どもたちは、教師の引率で電車に乗る時はこんなことはしないでしょう。
 なぜ、教師の引率の時はできて、教師から手を離れればそれができないのでしょうか。悲しいことに、教師のしつけが子どもの内面まで届いていなかったのです。多くの教師は、遠足が終わった後で、大げさに電車の中での過ごし方が良かったのをほめます。これがあるから、子どもは教師の引率の時には約束事を守るのです。
 子どもにしつけする最も適切なところは家庭です。そしてしつけをする役は、多くの場合両親です。そのしつけが子どもの内面まで届かせるためには、大切なポイントがあります。
その一つは「子どもをほめる」ことです。幼い時こそほめることが大切です。親がしつけたことをきちんと守れた時、大げさにほめてください。もちろん子どもが成長した時にも当然です。
二つ目には「親が模範を示す」ことです。親が、子どもに後片付けをしなさいと言っても、親が後片付けをしなければ効果はマイナスです。そして、
 最後は「親と子どもが行動を共にする」ことです。8時から勉強ですよと言っても、子どもが勉強している時に親はテレビを見ているようでは、駄目です。親も一緒になって勉強や仕事をして欲しいものです。
 以上のような三つのポイント大切にして、心豊かな、やさしい、思いやるのある子ども育てて欲しいものです。
「あなたも行って同じようにしなさい。」  ルカ10篇37節 グッドニュース2003年7月号「母と子の相談室」より