学習意欲を高めるために よりよい家庭をつくる

 私は、小学校の教師をしていました。学校では、熱心な教師でありたいといつも願っていました。そして子供が学習意欲が高まるように、いろいろと工夫をしました。楽しい授業づくりにも熱心に取り組みました。いやな宿題をいかに楽しくしていくかということにも取り組みました。ところが我が子となるとなかなかうまくいくものではありませんでした。それは、学校と家庭は違うからです。
 家庭は、学校の延長ではありません。学校で行っている学習を補強したり、増強したりするためにあるのではありません。親は学校の教師と同じではないし、同じことはできません。親は、教師のように学習指導する必要は全くないのです。
 もし、親も教師と同じであるならば、子どもはたまったものではありません。要するに家庭と学校は違うところです。その主な違いは次の三つです。
 第一に、学校は学習の場であるのに対して、家庭は生活の場です。
 第二に、学校は時間、空間的に限られていますが、家庭では、子どもの自由は学校よりずっと大です。そのため、子どもが主体的に行動できる範囲が、家庭の方がずっと大きいです。
 第三に、親子の関係は生涯続きます。しかし、教師と子どものとの関係は、ある一定期間のみです。
 要するに、本質的に家庭と学校は異なっており、その役割も異なっているのです。親は学校の教師ではなく、毎日の生活の中で、子どもの人格そのものに関与するべきものです。学校と家庭がそれぞれの役割を果たしてこそ子どもは成長していくのです。
 このようにみてくると、子どもの学習意欲を高めるためには、何よりもよりよい家庭を築いていくことが大切です。そのためにはよりよい親が必要なのです。
 自由でくつろげる家庭、家族同士が共感し合える家庭、ひとりの人間としてお互いに人格を認め合える家庭、夢や目標に向かってだれもが、がんばっている家庭、こんな家庭が子どものやる気を自然に起こすことになるのです。
「彼は敬虔な人で、全家族とともに神を恐れかしこみ、いつも神に祈りをしていた。」 使徒の働き10章2節
グッドニュース2004年4月号「母と子の相談室」より