学習習慣のしつけ方

 「子どもは親の言う通りには育たない」とよく言われています。親が、口先だけで「勉強しなさいと」と言っても効果があがりません。ましてや、子どもが幼い時に、親が塾や幼児教育の先生に任せきりの状態では学習習慣は身につきません。特に幼児時期において学習習慣をつけるということはとても大切なことです。
 学齢前の幼児期において、学習習慣を身につけるために大切な目標は、「元気に遊ぶこと」です。しっかりと遊べない子どもが、勉強などできるわけがありません。
 その理由は、第一に遊びは集中力を養います。子どもは、好きな遊びであれば何時間でも飽きずにそれに没頭しています。つまり、その遊びに集中しています。クラブ活動に熱中していた中学生が、いざ受験期を迎えると急ピッチで勉強をはじめ、成績を上げ、志望校に合格するということはよく聞く話です。これは、幼い頃からの集中力のなせる業なのです。
 第二に遊びは発想力を高めます。とくに、対人関係を通した遊びは、常に新たな発想を必要とします。
 第三に、特に体を動かす遊びは体力を増強させます。学習を持続させるには、体力が必要な要素です。
 その中で、大人である親の役割は子どもと一緒に遊ぶことです。親は、受容と共感の態度で子どもを見守り、子どもの話を聞くことです。とくに、夕食の時や、入浴の時、夜寝るまでの時間に、その日の出来事を聞いてやることは、とても有益です。その時にはできるだけ大人の価値観に基づいて評価をせずに、にこやかにうなずきながら「うん、うん」「それは楽しかったね」「悔しかったね」と子どもの思いを受け入れ、子どもの世界に共感してあげることは素晴らしいことです。
 それにより、子どもたちは自分が愛されていることを実感し、家庭の中に自分の基地があるという安心感で自信を深め、より積極的になります。
 遊ぶ時は思い切り遊ばせ、一日のある時間は、あたたかい雰囲気の中で集中的に学習していく。そして自分の周りには自分の学習を見守ってくれる人がいることが学習習慣を持続させる原動力となります。
「主は私の羊飼い。私は乏しいことがありません。」      詩篇23篇1節  グッドニュース2003年6月号「母と子の相談室」より