思春期の子どもから逃げずに(2)

先きには、思春期の子どもから逃げずに、受け入れるということを書きました。
 しかしながら、この時代の子どもたちが示す言動は、親を当惑させたり、混乱させたりします。そのため、ともすると思春期の子どもに対して、「受け入れる」というよりも「放任する」ような状況になりやすいです。
例えば、全国の中学生及びその保護者各約千七百名を対象にした調査によれば、飲酒、喫煙、万引きなどといった行動について、子どもの経験率とその保護者の認識には相当のずれが生じています。(子どもの経験率 飲酒51% 喫煙17% 万引き17%、それに対して親が自分の子どもについて「経験がない」答えた割合は飲酒67% 喫煙88% 万引き90%)
この調査結果からもうかがえるように、少なからぬ親は、子どもから目を背け、子どもの発する様々なサインを見逃しているのではないでしょうか。
 最近の少年非行の特徴の一つとして、「普通の子」の「いきなり型」非行が増えてきています。表面上おとなしく見える子ども、普段、問題行動を起こさないと大人から思われていた子どもが、「いきなり」対教師暴力、強盗、殺傷などといった非行に走る例が少なくありません。
 しかし、一見したところ「普通の子」であっても、必ずその前には、心身の不調を訴えていたり、些細なことに過剰に興奮したり、周囲の人に対して甚だしく攻撃的になったりするなどのサインを発しているはずです。
問題は、それを親が見逃している、あるいは、気になっているが目を背けているということにあります。
 懸念されるサインに気付いた時には、夫婦間で、家庭での子どもへの接し方について話し合い、サインの意味を考え、子どもとの会話を交わす糸口を見つける努力をしてほしいです。さらに、必要な場合には、時期を逸することなく、各種相談機関に相談することも大切です。 この時期の子どもたちを「手放しつつ、見守る」という親の姿勢は大切です。
「主は荒野で、獣のほえる荒地で彼を見つけ、これをいだき、世話をして、ご自分のひとみのように、これを守られた。」 申命記32章10節
グッドニュース2000年8月号「母と子の相談室」より