子どもの生活に時間とゆとりを

 
このごろ、多くの子どもたちが腕時計を持っていることに驚きます。平成7年の調査では、小学生高学年では76%の子どもが持っています。私たちの子ども時代には全く考えることができなかったことです。
 その理由として、もちろん、生活が豊かになった、値段が安くなったという理由があるでしょうが、子どもたちは、学校、塾、おけいこごと、自宅での勉強などで時間に追われるようになってきた証拠ではないでしょうか。
 そのため、遊び時間は削られ、その内容も屋内での孤立型の遊びが主役となり、子どもたちの遊びが質・量ともに貧しいものになり、本来の子どもの生活が時間とゆとりのないものになってしまっているのではないでしょうか。
遊ぶゆとりを失われたこのような状況は、子どもたちの育ちにとって決して好ましいものではありません。
 ある調査によると「夜眠れない」「疲れやすい」何でもないのにイライラする」といったストレスを訴える子どもがかなり見られます。
 その中で特に気になることは、「夜眠れない」と訴える小学生の子どもが34%もあるということです。成長盛りの子どもたちが「夜眠れない」ということはどんなことでしょうか。一日中遊び回り、夕ご飯を食べながら居眠りしてしまう、このような子どもこそ健康な子どもなのです。
子どもたちは、ゆとりのある自由な時間を与えられることによって、はじめて心から遊びを楽しみ、自分なりに遊び方を創意工夫し、のびのびと個性や創造性を伸ばすことができるのです。
 これからの社会が子どもたちに求める最も重要なものは、自ら学び、自ら考える力、豊かな人間性、健康や体力からなる「生きる力」なのです。こうした力を身につけるためには、ゆとりの中で、子どもたちが試行錯誤したり、遊びを含む多様な体験を積み重ねることが不可欠ののです。
「これらの小さい者を一人でも軽んじないように気をつけなさい。」 マタイによる福音書18章10節