朝会の話 24  耳が不自由な人だってがんばっているんだよ

 
 おはようございます。
 先日のことです。私が電車にのっていると、5人の若い人が集まっているのです。そのどの人もにこにことしているのです。。おしゃべりは何も聞こえません。なぜかなと思ってよくみてみると、手や指をいろいろと動かしているのです。先生は、この人たちが何をしているのかがすぐ分かりました。手や指を使ってお話しているのです。
 この人たちは、耳が不自由で人の話が聞こえないのです。ですから、手や指を使ってお話をしているのです。ですから、まわりの人がどんなにやかましくても、会話ができるのです。
 図書室の前の黒板に「手」という詩が書いてあります。その詩の中に「耳の聞こえない人とだって、やり方を習えば 手で話ができる」というところがあります。私たちも耳の不自由な方と手でお話ができると素晴らしいですね。
 手でお話する方法を手話といいます。ひとつ簡単な手話を教えておきます。
「私はあなたが好きです」「私とあなたは友達です」を手話で語る。
 15年前に、先生のクラスではなかったのですが、同じ学年に耳の不自由な女の子がいました。先生も何度かそのクラスに行って勉強を教えました。
 その女の子は、先生や友達の話を聞く時は、話をしている人の方をじっと見ています。耳からは聞こえないので、目から話を聞くのです。皆さんは目から話を聞くことができますか。
 その女の子は、お話をしている人の口元をじっと見ています。口の動きで話の内容が分かるのです。
 そのため、そのクラスの先生やお友達は、口をしっかり開けてお話をしていました。その女の子のおかげで、そのクラスの発表や本読みは学年で、いや学校中で一番上手でした。また、授業中の先生の話やお友達の発表を聞くのもとても上手でした。
 皆さんは、ベ−ト−ベンという人を知っていますか。この人は今から220年前にドイツで生まれた有名な作曲家です。
 ベ−ト−ベンは子どもの頃から音楽がとても好きでした。そして、21才になって本格的に音楽の勉強を始め、やがて、ヨ−ロッパの音楽界で素晴らしい作曲家として認められるようになりました。ところが、思いがけぬ病のため、これからという時に、耳が聞こえなくなりました。音楽家が耳が聞こえなくなるということは、大変なことですね。そのため、何度かもう生きていく希望もなくなったと自殺を考えたこともあったそうです。でも、このような苦難を乗り越えて、「英雄」「田園」「運命」など有名な名曲を発表しました。そして最後に71分もある「第九交響曲合唱」を発表しました。この曲は有名な曲ですので、皆さんも聞いたことがあるかと思いますが、その曲の一部を聞いてみましょう。
 (第4楽章合唱の前の部分を放送で流す)
 素晴らしい曲ですんね。年末にあちこちで演奏会もありテレビでも演奏されます。
 耳の不自由な人も、その苦しみを乗り越えて頑張っている人がいっぱいおられます。素晴らしいですね。
 今日は「耳が不自由な人だってがんばっているんだよ」というお話でした。1992年11月24日