ひとりっ子のしつけ 二

 今月号では親の子どもに対するかかわり方について考えてみたいと思います。
 きょうだいがあれば必然的に分散していく親の子に対するかかわり方が、ひとりっ子に集中してしまうことに問題がありそうです。それが、子どもが親にとってかけがいのない、ただ一人の子として大事にされるほど、いっそう気をつけなければならないと思います。
 その一つとして「過保護になりやすい」ことです。ただ一人の大事な子どもであるから、子どもの成長に必要以上に心配をし、不安を抱き、これを解消するために過度に保護してしまいやすいようです。
二つとしては「子どもへの服従的な態度」です。子どもを大事にしすぎるために、わが子が要求することは無条件に受け入れ、子どものいいなりになる。それが、子どもに対する愛情の証しであるとみなしているように思われます。
 三つ目は「親は支配的な態度をとりやすい」ということです。ひとりっ子は、親にとってみれば、将来を託す大切なただ一人の子であるから、親のわが子に寄せる期待は大きくふくらみ、子どもを思いのままに磨きをかけようとします。ときには、親の期待を子どもに厳しく強制することもあります。それがエスカレ−トしていくと、子どもの成長に過ぎた高い水準の期待がかけられ、子どもの欠点が目につきそれを叱責し、非難し、親自身が設定した目標に達するよう鞭をあてるようになります。
 このような親の養育態度が、依存性が過剰な子、抑制力や忍耐力が弱い子、わがままな行動をしがちな子、また、主体性の弱い子、神経質な傾向を帯びやすい子になります。
 ひとりっ子であるから、このような性格が身につくわけではありません。ただ、このような性格特性を身につける機会に見舞われやすいということです。
 ですから、親は自己の養育態度を反省し、子どもの年齢水準に応じ、要求を充足させ、しつけを行うよう考慮することが大切です。
 ひとりっ子を持つ親が、子どもが内在させている自ら成長しようとする力を信頼するならば、目の前のわが子が未熟・不完全でも、成長を見守る余裕が生まれてきます。
「父たる者よ。子供をおこらせないで、主の薫陶と訓戒とによって、彼らを育てなさい」エペソ人への手紙6章4節