ありがとう子供たち すばらしき子供たち  燃えたぎる生命の炎

 みんなの中に入ってじっとすることのできない2年生のMi君、1年生のN君とM君、歌は歌えなくても、ハーモニカは演奏できなくても、音楽会に参加できるかどうか、とても心配だった。練習のときはじっとしてくれず、大声をだしたり、ステージの上で走り回ったり、泣き叫んだりすることがたびたび。でも、今日はとても楽しくやってくれた。後ろから一人一人を支えつつ、涙が出るのを押さえることができなかった。       53・ 6・24

 健常児と呼ばれる子供たちならば「なんだこの程度ぐらい」と思うようなほんのわずかな成長である。
 しかし、彼等にとっては、自分の上にのしかかる重く、そして厚い壁を打ち破ろうと、あらんかぎりの命を燃えたぎらせて得た貴重な財産である。
 私自身、負けられない。彼等の生命の炎は私に大きな力を与えてくれた。

  「先生汗ふき」
 区内障害児学級研究会の授業の一こま。五人の子供たちと、体力づくり遊びをしたり、歌を歌ったり、模倣遊びをしたりする。暑さのせいか、冷や汗か、私の額から汗が流れていく。それを下から見たM子さん「先生、汗ふき」といたわってくれた。「うん、ありがとう」私はポケットからタオルを出し、汗をふいた。彼女のやさしさに胸があつくなるのを覚えた。
                        53・ 9・20
 私のクラスの子供たちは、みんなやさしく思いやりに満ちている。先生に対しても、回りの友達に対しても。短気になりやすく、すぐ小言を出しやすい私に、彼等は優しさこそ大切であることを教えてくれた。

  「ありがとうございます。」
 管理員さんが仲よし学級の、前の廊下を掃除してくださる。子供はわざわざ廊下に出て
 「おじちゃん、ありがとうございます。」
と言ってくれる。トイレを掃除してくださっている時に出会うと
 「おじちゃん、ありがとうございます。」
と言う。
 午前の学習を終えて、交流学級へ行く時、「先生、ありがとうございました」と大声で言ってから出て行く。
 この頃の子供たちは「ありがとうございました」と言う言葉を忘れ去っている。しかし、私のクラスの子供たちは「ありがとうございました」をさも当然のように口に出す。純粋無垢なこの美しさ。私自身の醜さを示してくれた。
 子供のこの素晴らしさは、私の教育の活力となった