「ありがとう」「ごめんなさい」が言える子(3)

 先月号では「ありがとう」「ごめんなさい」という言葉が自然的に出てくるような子どもを育てるために、家庭で子どもと親との間で繰り返される喜びや感謝の経験を積み重ねていくことが大切であること述べました。しかし、大人たちはこの言葉を使うことに躊躇しているのではないでしょうか。子どもは厳しい面で親を見ている様子を耳にします。
 「あそこにあるものを取ってきてってお母さんが言うから持っていくけど、もっていってもいつも黙っている」と言う言葉を子どもから聞くことがあります。また、「わたしの大事なコップをお父さんの肘が当たって落ちて割れた。でもお父さんは、こんなところにあると思わなかったから仕方がないって言った」と愚痴をこぼす子どももいます。
 このように子どもが何か手伝ってくれたとしても、それは「当然なこと」だからお礼を言う必要がないと考えている親が多いです。また、子どもに謝ることがとても難しいと感じている大人も多いようです。明らかに自分が悪かったとしても、子どもに謝るのは何か大人としてのプライドが傷つくような気がして、謝れない人が結構多いです。
 わたしの親しい人に中学生の男の子と高校生の女の子を持っているお母さんがおられます。そのお母さんは、子どもが手伝ってくれると必ず「○○ちゃんありがとうね。お母さん助かったよ」と笑顔で言葉をかけます。それだけではなく、軽く頭をなぜたりもされます。側にいてとても気持ちがよいものです。子どもも満足げに笑顔を見せます。そして知らないうちに親がして欲しいことを手伝っています。
 家で手伝いをしたときなどに親から笑顔で言われる「ありがとう」の言葉は、子どもに深く響き、心を温かく育む力をもちます。あるお父さんは「子どもに謝るというのは、とても勇気がいります」正直に気持ちを語った人もいます。
 でもこの「ありごとう」「ごめんなさい」ひと言が子どもを育てるだけでなく、友達関係にもよい影響を及ぼすことになるのです。
「すべての事について、感謝しなさい。これが、キリスト・イエスにあって神があなたがたに望んでおられることです。」
テサロニケ? 5章18節 グッドニュース2007年8月号「母と子の相談室}より