本好きな子を育てる(3)

 先月号も書きましたが本好きな子を育てることはしつけを考える上において、大きな力となります。
 先月や先々月でも書きましたが、心的環境や、物的環境をいくら整えたとしても、それだけで十分ではありません。
 特に、子どもの読書に関心を持っていたり、子どもの本についての知識の豊かな人、たとえば学校の教師のような方ほど陥りやすい落とし穴があります。それは、一定の年代や子どもの発達段階で読むべきだと考える本を、優先して与えがちなことです。
 たとえば、夏休み前になると選定図書といわれる本が選ばれ、この本を夏休みに読み、読書感想文を書きましょうと言われると、その本を与えようとする人です。もちろんそれが悪いこととは言いませんが、親は注意するべきことです。
 大切にしたいことは、その子どもの読書能力や読書興味、さらに子どもの好みなどを認めて、そこに根ざした読書を考えてやりたいものです。その子が現在いる段階をよく見極め、そこから出発することを心かけて欲しいと思います。
 子どもの個性を認めて、ということは読書能力や意欲・興味に関してだけではありません。その子の人間的な個性を認め生かしていくことが大切なのです。
 もう一つ大切なことは、この頃は学校でも「朝の読書」が組まれています。学校だけいくら熱心におこなったとしてもそれでは十分ではありません。家庭と連携していてこそ、本好きな子を育てるために大切なことです。
 そのためには、家庭での読書の時間を定期的に設けていくことが大きな力となります。曜日と時間を決め、その時になると自然にテレビが消され、家庭での読書をしていくようにすることによって本好きな子どもを育てるだけでなく、今問題になっている家庭での良きしつけ身につけることになるのです。誰が中心になっていくかは、子どもが幼い時は母親が世話をしなければならないと思いますが、次第に年長の子どもが世話役になり家族で本を読み合うようになればいいのです。時には、子どもをお母さんの膝の上にのせ読み聞かせも大切なことです。本好きな子どもを育てることは大切な子育ての一つです。
 「心を合わせ、志を一つにしてください」(ピリピ2章2節)」よりグッドニュース2006年5月号「母と子の相談室