あたたかいまなざしで

かつての時代、小学校では長期休業の前には「お手伝い表」が配布され、家庭でのお手伝いが奨励されていました。ところが、今日子どもの家庭でのお手伝いがあまり重要視されなくなってしまいました。
 だからといって、お手伝いの教育的価値が軽減したのではありません。子どもの人格形成をしていく上において、とくにしつけをしていく上において、お手伝いは大変重要な働きをします。
 園児や小学生低学年の子どもは、先生のお手伝いをとても喜んでします。これは、先生に認められたいという願いから行動すると同時に、お手伝いをするということは、本能的に喜びを感じているからです。
 その意味で、まず気軽に子どもにお手伝いを頼む場を多く与えるべきです。ちょっとしたことでも子どもに声をかけ、自分が役立つ経験を小さい頃から積み重ねることが大切です。それは子どものもつ本能的な喜びを充足させていくことになります。
 ある程度の年齢にきたら、家庭生活の中での定期的な仕事を分担し、家庭に一員としての役割を担当させるようにしたいものです。決まった仕事が分担されることで、子どもは家庭の中の貴重な一人として自分を見出します。また、その仕事を果たすことで責任感も培っていくことが期待できます。この経験を通して「役に立つ喜び」や「あてにされる喜び」という社会的な欲求を満たしていくのです。この欲求こそしつけをしていく根本になります。
 子どもにお手伝いを任せたらそれが稚拙であっても、うまくいかなくて、その出来栄えよりもそれに取り組む姿を見守ることが大切です。端的に言えば、子どものお手伝いの取り組みを必ず「認める」ことが重要なのです。
 「おかあさん、本当に助かるよ」「頼みにしているよ」「いっぱいお手伝いができるようになったね」など。
 これらの言葉を、あたたかいまなざしとともに子どもにおくりたいものです。
 もし、子どものやった仕事がうまくいかなかったら、そっと後から大人が補えばいいのです。
 おかあさんのあたたかいまなざしは、子どもの応援歌です。「多くのことばをもって兄弟たちを励まし、また力づけた」  使徒の働き15章32節 グッドニュース2003年1月「母と子の相談室」より