やさしさや思いやりのある子を


先きにも書きましたが、学校5日制になり、学力低下を心配する親御さんが多くなっています。
 文部省が、1980年と1996年に全国の小学校5年生を対象にした算数の調査問題の正答率が最大で24%も落ちています。また、小学生から高校生までの家で勉強する時間が20年前と比べてもぐんと減ってきています。文部省もそのことは心配しているようです。
 確かに学力低下は心配になりますね。
 今から25年前までは、学校では子どもに知識を身に付けるために一生懸命になった時代です。欧米諸国に追いつけ追い抜けと、知識中心の教育をしていました。その結果、社会をはじめ学校現場ではいろいろんな問題が起こりました。
 また、子どもを取り巻く状況が大きく変わりました。少子化核家族化、都市化の進展に伴い、家庭や地域社会の教育力が低下したことを背景にして、いじめや不登校、青少年の非行問題が深刻な状況にあります。それだけでなく、受験戦争の激化に伴い、学校教育が知識を一方的に教え込む教育に陥りがちになり、思考力や創造性、さらに豊かな人間性を育む教育、活動が疎かになってきています。
 このような状況に対応するために、2002年から新しい教育を行おうとしています。それが、ゆとりの中で一人一人の子どもたちに『生きる力』を育てることを基本とした教育なのです。
 これからの教育は「多くの知識を教え込む教育」から「自ら学び自ら考える力を育てる教育」へ、「自ら律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心や感動する心など豊かな人間性を培う教育」へ、と変わるのです。
 その一つとして、3年生以上の学年には、総合的な学習の時間(名称は各学校で異なりますが)が取り入れられます。この時間は様々な体験活動を通して、人間として大切な心を育て、自然や地域を愛する子どもを育てようとしています。
 先月にも書きましたように知識ばかりを身に付けた子どもではなく、やさしさや思いやりのあり、豊かな人間性をもつ子どもを育てようとしています。
「柔和の者は幸いです。哀れみ深い者は幸いです。心の清い者は幸いです。」
  マタイの福音書5章3節〜9節 グッドニュース2000年11月号「母と子の相談室」より