朝会の話 52 66年前に建てられた校舎

 
 おはようございます。
 運動会はとてもいい天気でしたね。気持ちのよい秋晴れの下、みなさんが輝いたすばらしい運動会でしたね。昨日、先生はあちこちの運動会に行ってきました。どこの運動会も雨が降っていましたが、力いっぱいがんばっていました。どのような中でも力いっぱいするということは、見ている者の心を打つものですね。
 この写真は、今の神鉄六甲の駅前にある、北土木事務所に建てられていた、唐櫃小学校の校舎の写真です。
 この校舎は今から25年前に壊されてしまいました。みなさんのお父さんやお母さん、おじいさん、おばあさんが通った校舎です。
 この校舎が建てられたのは、今から66年前の昭和2年でした。土曜日にこの校舎が建てられたときに1年生に入学した人とお話をしましたが、とても立派な校舎だったそうです。
 先生もいろいろ調べましたが、この校舎は杉の木を使って建てました。校舎が建てられる4年程まえに、関東大震災という大きな地震がありました。そのような大きな地震がきても、倒れることがないように工夫して建てられたそうです。
 とても、りっぱな校舎でしたので、小学生のみなさんは掃除をとてもていねいにしていました。廊下も教室の床も腰板も、乾拭きでしかっりと拭いていたそうです。長い廊下を端から端まで一列に並んで拭くだけでなく、磨いていたそうです。ごみ一つ落ちていないだけでなく、ぴかぴかに光っていたそうです。このようにして、そこで学んだ人たちは、この校舎をとても大切にしました。
 教室も、廊下も、講堂も、お便所も使えば必ず汚れます。消しゴムの屑や紙の切れ端も落ちるでしょう。窓からほこりも入って来るでしょう。また運動場の土も靴底について入って来ます。あれやこれやで、じきに汚れてしまいます。その汚れをはき取り、拭き取ってきれいにします。そうすれば、第一気持ちがよいし、身の回りの物も汚れないし衛生上もいきとどくことになります。掃除をするめあてはもともとそういうところにあります。
 ところが、みなさんのお父さんやお母さん、おじいさんやおばあさんたちはそれだけでは不十分だと考えたのです。ただ、汚れをなくするだけでなく、校舎を自分たちの大事なものとして宝物のように美しくみがきあげようと思ったのです。そこで、汚れを取り去った後の床板や腰板は、力いっぱいみがくことをはじめたそうです。
 ですから、40年以上たった校舎でしたがいつまでも美しい校舎だったそうです。
 この夏に、多くの人々のお世話で、この校舎がとても美しくなりました。先生はとてもうれしかったです。この美しく、りっぱになった校舎をいつまでも美しい校舎であるように、汚れをはき取り、拭き取ってきれいにするだけでなく、この私たちの美しくなった校舎を私たちの大事な宝物のように美しく磨いていきましょう。みなさんのお父さんやお母さん、おじいさんやおばあさんが力いっぱいしてこられたように、りっぱな伝統を受け継いでいきたいものです。
 きょうは、66年前に建てられた校舎というお話でした。
1993年10月4日