教育講演会「お母さん あなたは子どもを生かす力がある」 最終回

 子どもの心を癒す力がある母、子どもに喜びを与える母、優しさを育てる母の生き方、感謝の心を培ってくれる母の生きざま、その母がいてこそ子どもは生きる力を得ることができるのです。
 
 私の母は1983年12月に召天いたしました。召天する前の夜、私は病院のベットの側で母の手を握って一晩過ごしました。ざらざらの母の手をさすりながら、幼い時から今日まで母と過ごしたことを思い出していました。
 その思い出の手は七人の子どもを育てるために畑仕事や山仕事をした傷だらけの手でした。
 戦争中、灯下管制の下、破れた靴下を繕ってくれた優しい手でした。わたしが低学年の時、一週間高熱で寝込ん時、一晩中眠らないで頭を冷やしてくれた暖かい手でした。私が丹波の地から神戸に旅立つ時、いつまでも私を見送ってくれた手でした。その手は涙でぼやけて見えることができませんでした。
 その手が、その母のクリスチャンとしての生き方が、私の生きる力となっているのだなあとつくづく思いました。
 納棺式の後、わたしはもう一度母の手を握りしめました。そして、そうっと
 「おかあさんありがとう。」その手があったからこそ、今のわたしがある。キリスト者として生きることができる。
 
 お母さん、あなたから生きる力を受けて育った子どもは、きっと、あなたに生きる力を与える存在となることでしょう。
 
 聖書は教えています。
「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りな さい。すべての事について感謝しなさい。」テサロニケ第一の手紙5章16節から18節
「何事でも人々からしてほしいと望むことは、人々にもそのとおりにせよ。」マタイによる福音書7章12節
「その翼にはいやす力を備えている。」マラキ書4章2節
 私たちがこの聖書の言葉に聞き従って歩むならば、一人一人に生きる力を与え、子どもたちを生かす者となることができるのです。
 
 聖書は私たちにはっきりと御言葉を通して語っているのです。
 「彼はまたわたしに言われた。『これらの骨に預言して言え、枯れた骨よ、主の言葉を聞け。主なる神はこう言われる。見よ、わたしはあなたがたのうちに息を入れて、あなたがたを生かす。わたしはあなたがたのうちに息を入れて、あなたがたを生かす。わたしはあなたがたのうちに筋を与え、肉を生じさせ、皮でおおい、あなたがたのうちに息を与えて生かす。』」 エゼキエル書37章4節から6節