教育講演来「お母さん あなたこそ子らの生きる力です 3」


2.母親は子どもに喜びを与える
 三年生の勝くん、テストの成績はあまり芳しくありません。でも、そのテストの結果をいつも待ちわびています。
 テストのプリントが返されると、きちんとたたみ連絡帳にしまいます。どれだけ成績が悪くてもそのプリントをぐちゃぐちゃにすることはありません。多くの子は成績が悪いとぐちゃぐちゃにしてしまいますが、中には机の中に押し込んでしまいますが。勝くんはそのようなことは決してしません。
 ある時、わたしは勝くんに聞いたことがあります。
「勝くんいつも偉いね。プリントをきちんと畳んでしまうのだね」と。すると彼は、にこにこしてわたしに言いました。
「うん、これをお母さんに見せるの。するとお母さんは僕をほめてくれるの。しして間違っている所を、お母さんはきちんと教えてくれるの」と。
 いろいろと聞いてみると、十問中二問だけ丸がついていても、勝くんのお母さんは二問しか合っていなくても、決して愚痴は言いません。それだけでなく、
「勝ちゃん、二つも丸がついているね。すごいよ。字も数字も丁寧に書けているよ。」と、常に勝くんのありのままの状況を認めてほめてくれるのです。
 母親の中には、たとえ90点採っても子どもに間違っている所を厳しくとがめる母親がいます。100点採っても「みんな100点だったでしょう。100点採っても当たり前」と言ってほめることをしない母親もありません。
 母親は子どもの姿をありのまま受入れ、子どもを認め、褒めることによって、子どもは喜びを感じます。母親の一言が、子どもに喜びを与えます。その喜びが、子どもに生きる力となっていくのです。