集団生活になじめない子

 
 「今年幼稚園に入りましたが、一人っ子でわがままなせいか、集団生活についていくのが難しいようです。どうしたらよいでしょうか。」という質問が来ました。それについて下記のように答えました。参考にしてください。

 集団生活になじめない子、このような子が今日増えてきているのは事実です。保育所でも幼稚園でも、いや、小学校、中学校でもいます。
 集団生活になじめない子には、自己中心的で、独占欲が強く、がまんできず、家でも、幼稚園でも学校でもわがままな行動を取るために、みんなと同じ行動が取れない子と、自分ひとりだけの世界に入り込み、他人とのかかわりが持てない子(例えば、みんながすべり台で遊んでいるのに、一人だけで砂場で遊んでいるような子)がいます。今月は、前者の場合を考えてみます。(次の機会に、後者の場合を考えます。)
 子どもたちは、自分にとってよいものはすべて自分のものであり、すべて自分の思い通りにしたいとする段階から、自分の住んでいる世界は必ずしも自分の思い通りにならないと認識する段階へと発達していきます。
 この過程で子どもたちはさまざまなことを経験します。
 質問をされた方のお子さんは、ちょうどこの初めの段階から次の段階へ進むための貴重な経験の時だと思います。友達とけんかをする時もあるでしょう。また、先生から注意を受ける時もあるでしょう。また両親から叱責を受ける時もあることでしょう。自分の欲求が満たされない経験は、この時期の子どもたちにとって苦痛に満ちた経験です。
 この貴重な体験や情緒的経験を通して、子どもたちはしだいに「自分の思うようにばかりならない世界がある」という認識を高めていくのです。
 だから、「うちの子は、みんなに迷惑ばかりかけて、本当に困った子だ」と思わないで「今は、貴重な経験をしている時である」ことを覚え、積極的に子供とかかわってください。外から自分の欲求を禁止される経験を重ねながら、しだいに望ましくない行動を自らの力で禁止できるようになっていきます。
 それと同時に、「自分がこのようなことをしたら、相手はどのような気持ちになるだろう」ということを常に考えさせてほしいものです。
「おのおの、自分のことばかりでなく、他人のことも考えなさい。」ピリピ人への手紙第2章4節