お母さんは間違っていませんか12 食事の時は心を共有する場


 先日、ある教育講演会で、先月書いたことについて話をしました。その後で、質問の時にこんな話がでました。それは、「子どもがみんな一緒に食べる時は疲れる、一人でのんびりと食べる方が楽でいいと言うのです」確かにこの子どもの気持ちは分かります。学校で、給食を食べる時は、みんなで一緒に食べます。食べ方について、教師は子どもにいろいろと指導します。「口に食べ物が入っている時は、おしゃべりをしてはいけません。」とか「嫌いのものでも食べるようにしましょう」とか「全員が揃ってから、みんなでいただきますを言ってから食べます」と。
 子どもにとっては一人で好きなように、好きなことをして食べるのが楽でいいのかもしれません。しかし、そこには大きな問題があるのです。
 この家庭では、もうすでに大切なものを失っているのです。その大切なものとは、一人の子どもが多くの方と共に生活する上に欠かすことのできないコミュニケーション能力、心を育てること、心を立て直すこと、家族のあたたかい雰囲気、親の愛情などです。
 その結果、他人の気持ちが分からない子どもとなり、人に対する感謝の気持ちが失われ、自分の思いだけで動く自己中心型の子どもとなってしまうのです。
 お母さん、あなたの子ども時代はどうでしたでしょうか。ひょっとして、もうすでに一人で好きなように食べる時代に育っていたのかもしれませんが、多くの家庭では、家族がみんな揃ってわいわい言いながらお母さん手作りのものを楽しく食べていたのではないでしょうか。
 家族みんなで食べる食事は、家族一人一人のありのままを受け止めるところに大切な役割があります。食事は、追い立てるところではありません。追求し、責めるところでもないのです。幼児から小学生、思春期を迎えた中学生、一人前の大人に成長しつつある高校生、そして働く大人それぞれがもたらす気持ち出し、にぎやかに、気分よく心を共有できる場なのです。人間として成長するためには欠かすことのできない場なのです。
「あなたの神、主の前で食べ、あなたの家族とともに喜びなさい」申命記14章26節