心の教育シリーズ 5

思いやりのある子を育てる
 
 今日の青少年の様子をみると心のいたむことが余りにも多いです。中学生をはじめ若者による殺人、弱者に対するいたずら等目を覆うことが余りにも多いです。それだけではありません。電車で高齢者に席を譲るといったことをとってみても、小・中学生を対象とする調査によれば「全然していない」「していないことが多い」と七割近くが回答しています。体の不自由な方が電車に乗ってきても中・高校生や若者は知らん顔、60歳代の人が席を譲る情景を見ます。また、高齢者に席を譲った高校生に対し、同じ高校生が「ええかっこうして」と冷ややかな言葉をかける情景をも見ます。このような情景を見るたびに、子どもの、心の教育の必要性をつくづく感じます。
 高齢者や障害のある人が手助けを必要としている場合に、自然に席を譲ったりする習慣を育てる、すなわち思いやりの心を育てることは大切なことです。
 このような思いやりの心の育成は幼少の頃からの日常生活における身近な実践を通じて育まれていくものです。
 このためには、まず、親自らが率先しなければ子どもには身に付きません。
 今日、祖父母と一緒に生活することが大変少なくなっています。祖父母は、長い人生経験の中で、子育てを含め、人間として生きていくための様々な知恵を培ってきておられます。それぞれの家庭ではこの祖父母の経験と知恵を子育てに積極的に生かすことが大切です。それだけではなく、子どもにとって思いやりの心を育てる絶好なの機会です。
 そのためには、まず、祖父母が大切な存在であることを子どもによく理解させるべきです。何によりも親が率先して祖父母を大切にする姿を示すべきです。その姿を子どもたちが見ることによって、親に感謝し、親を思いやる心が育だち、それが、広く他者を思いやる心を育てることになるのです。
 今日、思いやりの心が育っていない状況は、親自身が自分の親を大切にしていないところから生まれているのではないでしょうか。
 
「あなたは白髪の人の前では、起立しなければならない。また、老人を敬い、あなたの神を恐れなければならない。」レビ記19章32節