のびのびとした子を育てる生活習慣づくり(7)

 先月号では、母親のひとことが子どもを成長していった実例を述べました。 子どもの成長にとって母親の役割は大きいです。母親が子どもにどう接するかは子ども育てる上で大きな役割を持っています。
 一年生を担任していた時に、子どもがこんなことを私に言いにきました。「先生、国語の教科書入ってなかった」と。一年生を担任している教師ならばよく耳にする言葉でしょう。国語の教科書を忘れてきたことです。普通ならば「国語の教科書忘れてきました」と言うべきですが、この子は、「入ってなかった」と言ったのです。きっとこの子の母親は毎日の時間割を合わせるのを、親自身がしているのでしょう。だから入ってなかったと言ったのでしょう。 
 入学当初は母親も時間割を見て教科書の入れ替えをすることを手伝うことはあります。しかし、一か月もすれば自分で時間割をみて翌日の準備をさせていくように指導します。私はさっそく家庭訪問をして母親にその旨を伝えました。
 母親は子どもが失敗しないようにいろいろと気遣います。その気遣いが子どもの成長する芽を摘むことになります。子どもはいっぱい失敗するのがいいのです。その失敗によって子どもは成長するのです。いつまでも子どもが失敗するのをかわいそうに思い手をかけすぎると、子どもはいつまでも成長しません。子どもの生命にかかわるような大きな失敗をさせないためにも、毎日の小さい失敗は見逃したいものです。しかし、子どもはまだ幼いです。きちんとできないことも多いです。ですから、子どもが寝てから、親が確かめてあげましょう。もし、忘れ物が見つかれば、ランドセルの上に置いて置きましょう。そして、朝、子どもが起きた時に、「国語の教科書、椅子の上にあったけれどかばんの中に入れるのを忘れているのとちがうの」とひと声かけましょう。きっと子どもはもう一度時間割を調べて忘れているのに気づきます。
 こういう小さな気づきが大切なのです。いつの間にか、子どもは朝、再度忘れ物がないか調べる子に育ちます。
 子どもが朝、学校に行くまでの短い時間ですが子どもを育てるのに大切な時間です。
「主は、あなたを、行くにも帰るにも、今よりとこしえまでも守られる。」
詩篇121篇8節