のびのびとした子を育てる生活習慣づくり(6)

 先月号では、社会生活を営むわたしたちはお互いに感謝の念をもつために常に「ありごとう」の言葉を発する子を育てるために母親の態度が大切であることを述べました。
 「ありがとう」という言葉だけでなく子どもの心を育てるために大きな役目を果たすのは母親のひとことです。特に朝の母親のひとことは大切です。
 わたしが一年生を教えていた時に、特にやさしい女の子がいました。その子は誰か困っている子がいるとすぐその子のそばに行き手伝います。本当に感心な女の子でした。特に感心したのは、一日の学習が終わり、帰りの支度をする時です。この頃も行っていることと思いますが、一日の終りに、連絡帳に明日の準備や宿題を書きます、そして、お知らせのプリントを配ります。そして、帰りの準備をします。その女の子は、自分より遅い子がいると、すぐその子のそばに行き、手伝ってあげます。そして、遅い子の片づけが終われば、急いで自分の分をします。ですから、ややもすると、一番クラスで遅くなります。
 わたしは、その子のやさしい行動をじっと見ていました。でも、少し気になりました。「自分の片づけが終わってから、手伝ってあげればいいのになあ」と。でもその子がまず困っている子のためにやっている姿に目を細めていました。
 学期に終わりになり、個別懇談の時がありました。その子のお母さんが真っ先に「先生、うちの子、困っている子のお手伝いをちゃんとしていますか。」と聞かれました。わたしは「はい、いつも困っている子の手伝いを一生懸命にしていますよ。本当に優しい子ですね」。おかあさんは「ああ、よかったです。毎朝、学校に行く前に『困っている子がいたら助けてあげてね』と言っているのですよ」と何気なく言われるのです。そして「わたしも母からいつもそう言われて育ちました。母の言葉ってすごいですね」と言われるのです。
 たった母親の短いひとことです。でも毎朝子どもに伝えることによって子どもは変わります。優しい子に子どもは成長します。お母さんができなければおばあちゃんが。誰かが子どもに声をかけてあげたいものです。
「あなたはそれらを、あなたの子どもや孫たちに知らせなさい」。
ヨシュア4章1節〜9節