思春期を迎える子どもたち(19)

 先月は子どもが進路を決める時には、親自身が自分の職業観を子どもに伝えることが大切であることを述べました。特に思春期な最中にある中学三年生の時に持たれる三者懇談には、このことが大切なのです。親が押し付けるような進路ではなく、子ども自身が納得した進路を決めなくては、高校生活に入った時に無意味な日々を送ることになってしまいます。
 今日、学校での学び方が大きく変化しています。また、職業の種類も分野もどんどん変わっています。もし親がこのような変化についていけなくて、普通高校にいけばなんとかなるだろうと思いやすいです。
 今日、高校においても様々な学科があります。神戸では震災の経験から防災科が専攻できる高校があります。その他様々な科目を専攻できる高校も多いです
 また、近年職場体験を実施する学校も多くなってきました。兵庫県では十年ほど前から中学二年生を対象に、一週間地域の協力を得ながら職場体験をしています。これに参加した子どもたちは「働くことの喜びや楽しさ」を味わい、自分の「将来の職業や進路」に関心をもつようになり、そのために学力をつけることの必要性を実感するようになります。
 そのような様々な取り組みにもかかわらず、現実をみると「自分は何の取り得もない」「勉強なんかわからず、面白くない」「何をするにも面倒くさい」「何をしたいのか自分でも分からない」「将来に希望がない」といった子どもも多いのは事実です。
 中学三年生のおしつまった時期に持たれる三者懇談において、子どもの自尊感情を高めてやることが大切なのです。
 「あなたには、優しいところがあるので、小さい子から慕われているのだよ。幼稚園の先生か保育園の保育士に向いているかもしれないね。今からでも遅くない。少しずつ勉強の基礎からやり直し頑張ってみたらどうかな」と子どもの長所を発見し、励ましを与え、子どもの学ぶ意欲を引き出すことが大切です。
 子どもは、自分が大切にされていると思えば自分のことをよく理解し、将来の見通しを立てようとします。そのような環境づくりを親や教師が協力して、子どもに伝えること、そこに三者懇談の大きな意味があります。
 「神はお造りになったすべてのものをご覧になった。見よ。それは非常によかった。」   創世記1章31節