思春期を迎える子どもたち(17)

 学校に行けなくなった子どもは、「自分は悪い子だ」「親に見捨てられるのが怖い」など、内心は怯えています。子どもは自分という存在が親の喜びでありたいと願っているのです。しかしその期待に添えない自分を見た時に、不登校になってしまう場合があります。
 このような場合でも、「君はだめではない。今のままで良い。大事なわたしたちの家族だから」という肯定的な見方をしていくことが大切です。
 また、自分の行きたい学校に行けす、親の意見に従って別な学校に行った場合、その反抗として学校に行かなくなることもあります。
 「子どもが中学卒業したら音楽の道に進みたいと言ってのですが、無理に市立高校に入学したのですが、学校に行かないのです」との教え子からの相談がありました。親にしたら苦渋の決断でしたが、一年間学校に行かず、翌年、専門学校に入学を認めました。
 思春期の子どもは「自分がどう扱われているのか」「本当に自分のことを思ってくれているのか」に敏感になっています。言葉には出さない子どもの思いを親は大切にすることが大切です。
 思春期の子どもが学校に行けなくなったとき、よく子どもの気持ちを聞いてあげることが大切です。親に原因がある場合、親の子どもに対する肯定的な態度が、大切なのです。親自身が子どもを信頼していることを言葉だけではなく態度をもって伝えることが大切なのです。それを感じ取った子どもは、自分自身を少しずつ好きになり自信を持っていくようになっていくのです。
 一進一退を繰り返す時期もあるでしょう。親として大変つらいことかも知れません。しかし、子どもはもっとつらい思いをしています。大切なことは、決してあきらめず子どもの力を信じることです。親が子どもを思う以上、子どもは親を思っているのです。
 高校で不登校になった一人の女の子、結局、高校には行かずに、不登校の子のための学校でゆっくり学び、一応高校の卒業の資格は取りました。その子が何年かのちに親に「自分勝手な事をしてごめんなさい」と言って詫びたとのことです。この言葉を聞いて嬉しかったと、わたしに話してくださいました。
 「へりくだって、互いに人を自分よりすぐれた者と思いなさい。自分のことだけでなく、他の人のことも顧みなさい。」 ピリピ2章3〜4節