思春期を迎える子どもたち(16)

 これまで述べてきたように、思春期になると様々な問題が生まれてきます。特に多いのが親に対する反抗です。これは大人になるために通らなければならないことです。ですから親は善意的に考え多少のことに対しては認めてあげなければならないことです。
 ところが、反抗の一つとして、子どもが学校に行かなくなる不登校という形で現わす場合があります。
 そのようになった時多くの親は動揺し、叱り、さとし、時には脅かして力ずくで学校に行かせようとあらゆる努力をします。しかし、今まで従順に親の言いつけに従順だった子どもが、親が様々な努力をしても親の気持ちを理解せずに動かないと知った時、親は落胆し焦燥感や無力感を味わいます。そして「なんでこうなったのか。育て方が悪かったのか」と自分を責めるようになります。
 一方子どもは親の気持ちを敏感にキャッチし、自分は親の期待に添えないだめな子だと感じ、時には暴れつつ親の声の届かない奥へ奥へと逃げ込むこともあります。
 また、場合によっては学校に行くと言って家は出ますが、学校には行かずに一日を過ごすという場合もあります。
 このようにして、子どもは自分の心を閉ざし、親も子も心が大きく傷つき、家族の大きな危機が訪れます。
 しかし、危機は逆には一つのチャンスでもあるのです。子どもも親も大きく成長する時なのです。
 このような時だからこそ、親は自分の規範に縛られずに子どもと対話をすることが大切です。子どもの不登校には何か学校に行けない理由があるものです。
 「子どもに何が起こったのか」「子どもは何を訴えようとしているのか」子どもが不登校ならざるをいられなかった気持ちを親は少しでも感じることが大切です。それが身体的な理由であればお医者さんとよく相談する必要があります。また、学校における人間関係の問題であれば、担任に相談する必要があるでしょう。しかし内面的な理由であれば話し合うことによって解決ができるものです。
 親が考え方を直さなければならない場合もあります。このような時には親は素直になり子どもの気持ちをしっかり受け止めるようにしたいものです。
 「どうか、みなが一致して、仲間割れすることなく、同じ心、同じ判断を完全に保ってください」
コリント第一1章10節