思春期を迎える子どもたち(12)

 先月号からの続きです。子どもの幼少時代からやるべき課題です。
 先月号では、人間関係を学ぶ場をつくることの必要性を述べました。
 思春期の人間関係は大変複雑で、幼い時から人間関係がうまくできない子は思春期になると、誰とも相談ができず、ひとりで思い悩むことが多いです。
 たとえ自分がいじめられていても、それに反抗する力もなく、誰にも相談できず、自殺に陥ってしまったり、親のお金を無断で持ち出したりしてしまう場合が少なくはありません。
 そのために、幼い時からいやなことは「いや」、間違ったことは「それは間違っている」とはっきりと言える力を育てることが大切です。
 けれどもそうした自己主張は「わがまま」ととらえる親もあります。確かにわがままな場合もあります。しかし、子どもの成長の順番として、それができるようになることがまず大切です。それができるようになってから、周りの子の状況を見ながら我慢するということを学ばせるのです。
 自己主張をすることの大切さを小さい時から教えないと、思春期に「いやな奴」に会った時に簡単につぶされてしまいます。このようなことが起こることは少なくありません。小さい時から、親が常にそばに付き添い、子どもの代わりに「やめてね」と言っているようでは、自己主張できる子は育ちません。
「お母さんが見ているから、自分でやめてと言ってごらん」と励まし、「ほらちゃんとがんばってやめてと言ったからやめてくれたでしょう」と、体験を重ね、自分の力で友だちとの関係を作っていくことが大切です。
 そのためには、親同士の仲間、子ども同士の仲間を持つことが大切です。子ども同士、仲間との遊びにおいて様々な人間関係が培われていくのです。
 かつての時代は、兄弟が多く、兄弟の中で様々な人間関係が培われてきました。 今日は子どもの数も少なく、親が意図的に仲間を作っていかないと、思春期になったときに様々な問題が発生していきます。母親の中には「子育て仲間を持つなんて面倒くさい。友達はいらない」と思っている人がいますが、この親の子が一番危ないのです。
 「見よ。兄弟たちが一つになって共に住むことは、なんというしあわせ、なんという楽しさであろう。」  詩篇133篇1節