思春期を迎える子どもたち(11)

 先月号からの続きです。子どもの幼少時代からやるべき課題です。
 「人は人の中で生きるから人間」であるとよく言われる言葉です。ところが、思春期の子どもには「孤独になりたい」と思う気持ちがわきます。しかし、孤独になれるだけの強さも持っていません。
 友だち同士の生活の中で、いじめは悪いことだと多くの子どもは思います。しかし、子ども同士の中で、いじめはなかなかなくなりません。そこには、たとえ孤独になったとしても、「そのような友だちの仲間に入らない」と言えるだけの強さがないのです。そして、いじめの仲間に入ってしまうのです。だから、「あんなよい子が、友だちをいじめる側に入っている」と思うことが多いのです。
 また、逆にあまり親が出すぎると、子ども自身に拒否されてしまい、わが子の孤立を招いてしまうこともあるのです。
 いじめというものは、親や教師の目の届かないところで起こることが多いです。親や教師は「何かおかしいなあ」と思いつつも助けられないことが起こります。大きな事件になってから「うちの子がそんなことをしていたのか」と悔やむ親も多いものです。
 いじめはわが子にも起こりうる問題なのです。このことを覚悟して、幼少時代より人間関係にタフな子に育てることが必要となってきます。思春期になってからでは遅いのです。
 ですから、子どもが小さいうちから、「この子はどんな性格の子だろうか。どういう行動のパターンを取りやすい子なのか」を十分に観察しておくことが大切です。たとえば「うちの子は、人をいじめやすい子だ」とか「うちの子はのっそりしているから、人からいじめられやすい子だ」と知っておくことが大切です。
 そのためには、わが子だけを見ていてもだめです。他の子と一緒に遊ぶ場面を持ち、子どもの行動をよく見ることが大切です。
 それだけでなく、まわりのお母さんたちから、子どもたちから、いろいろと聞かせられたら、その言葉を素直に聞き、「あなたの子だってそうでしょう。うちの子ばかり責めないでほしい」と思わず、素直に受け入れる親でありたいものです。親の目だけでは自分よがりになってしまいます。
「何事でも自己中心や虚栄からすることなく、へりくだって、互いに人を自分よりすぐれた者と思いなさい」 ピリピ 2章3節