思春期を迎える子どもたち(8)

 先月は、いのちが余りにも軽んじられていることに対して三つの点を通して、いのちの大切さを心から感じさせることの大切さを述べました。
 今月は、「いのちについて学ぶ」ことの大切さを考えてみます。これはいのちのかけがえなさ、自分の存在の大切さを学ぶことです。
 まず、自分がここに存在していることの意味を考えさせることです。自分がここにいるということは、多くのいのちのつながりがあるということを分からせることが大切です。核家族が多い現在ですが、おじいさんやおばあさんの家に行った時に「おじいさんやおばあさんがいたからこそあなたが今生きているのですよ」と語りかけることが大切なことです。また、おじいさんやおばあさんのお父さんやお母さんのことについて語ってもらえればすばらしいです。このことから自分の存在は自分の一人の存在ではないということが分かると思います。
 次に、お母さんがお子さんを宿した時や産まれた時のことを子どもに語ることです。小学校低学年生活科の学習で「自分の生まれる前のことや生まれたときのことを聞いてくる」という学習があります。その時にしっかりとお母さんは子どもに語ってあげてください。特に次の三点を中心に語るといいでしょう。一つは、この子をお腹に宿したときのお母さんの気持ち。二つは、陣痛の苦しみ。三つは、あなたが生まれた時、陣痛の苦しみを忘れてしまうような喜び。もちろんお父さんの思いも語ってあげてください。このようなことを自由に語れるような雰囲気の家庭をつくることが何より大切なことです。
 三つ目には、小さないのちとのふれあいを経験させることです。弟や妹があればどしどし子守を頼んでください。塾に行って勉強するより大切な学習です。全国的に中学生の体験学習がされています。保育所乳児院に行く体験もあります。こういう体験を通じて子どもはいのちの大切さを学んでいくのです。
 このごろは教科の学習が重視されていますが、いのちのことを学ぶことがより大切です。いくらいい学校に合格しても、自分のいのちを失ったり、他人のいのちを奪ったりするようでは何の意味もありません。
「神は、すべての人に、いのちと息と万物とをお与えになった」  使徒 17章25節