思春期を迎える子どもたち(3)

Q この頃、中学生、高校生が親や祖父母を殺すという悲しい事件が起こっています。思春期の子どもをもつ親として悩むことが多いです。この子たちに親はどう接すればいいのでしょうか。
A 先月は親に不満をぶつけることがあることを述べ、そしてその不満をまず親が受け止めてやることの大切さを書きました。 また、思春期の子どもは、自己主張が強くなってきます。なぜならば子どもは自我に目覚めるからです。今までは親の言うとおりに行動してきました。それから脱却していこうとするのです。そればかりか言い出したら妥協せず、自分の考えを見直すことができず、理屈っぽくなります。そのような時期ですから、親の考え方に反発をし、親の言うことを聞かなる時が多いです。場合によっては、子どもは親に言ってもしようがなく思い、親と話をしなくなってしまうこともあります。
 ところが、電車代やバス代などは大人料金になったとしても、まだ中学生です。経験が浅いのは当然なことです。友達の影響を受けて、理詰めで立派な意見を言いますが、行動が伴いません。自分の意識と行動にずれがあります。このことを親がけなすと余計に反抗的になります。親として大変扱いにくい時期なのです。
 例えば、子どもが夕食時に連絡もなく帰って来なかった時、子どもが帰って来ると「今までどこにいたの。何をしていたの。何故連絡しなかったの」と親は言いやすいです。そう言うと「別に。うるさいなあ」と言って子どもは自分の部屋に入り込み出てこなくなることがあります。子どもは「友達を遊んでいたり、おしゃべりをしていたりしていたため遅くなってしまった」という理由があり、帰ったら叱られるに違いないと思い、素直に言おうと思って帰ってきましたが、親は、「今までどこにいたの」詰問するものですから反発してしまうのです。このように思春期の子どもは意識と行動に大きなずれがあるのです。
 このようなとき親は自分の気持ちを正直に表現することが大切です。「お帰り! あなたの帰りが遅いので事故でもあったのではないかとお母さんは心配していたのよ。良かったね。何もなくて」と語りかけるのです。この親の言葉には評価や意見や指図などが含まれていません。子どもは反抗する必要がないのです。
 先月に書いたように子どもの不満を受け止めてやることと同時に、親の気持ちを素直に表現してやることが大切です。
「愛は寛容でであり、愛は親切です。…自分の利益を求めず、怒らず…」
コリント? 13章4,5節 グッドニュース2009年1月号「母と子の相談室」より