思春期を迎える子どもたち(1)

 質問にもあるように、この頃中学生や高校生の子どもたちが、あってはならない親や祖父母を殺すという悲しい事件が起きています。そればかりでなく弱者に対して暴力を振るったり、場合によっては殺したりするような事件が後を絶ちません。大変悲しい事件が余りにも多く、子どもの問題に関心を持つ者として心の痛みを感じます。 この問題に対して解決を与えるということは大変難しいことです。また、個人差が大きく、それぞれ異なる事情があり、同じようにできない面があります。
 しばらくこの問題について考えて見たいと思います。この欄に書いたことを行ったとしても、それで簡単に解決するものではないと言うことを覚えていただき、一緒になって考えて下されば幸いです。
 思春期は、かつては「疾風怒濤の時期」とも言われていました。それは、変化を経験する子どもだけでなく、家庭や周囲の人々もその子どもに揺さぶられると考えられていたからです。ところが今日、多少の嵐はあっても、疾風怒涛にまでは行かない家庭も多いようです。
 またこの時期を「第二反抗期」とも呼ばれることがあります。逆にいうとこの時期を子どもにとって「成熟期」でもあるのです。このような時期を通して子どもは親から心理的に離乳し、自立に向かって成長していくのです。したがって、子どもの成長し大人になっていく過程において、必要な時期でもあるのです。
 ところが、このような時期を通らないで、すなわち目立つような反抗をしないで成長していく子どもも多いようです。「うちの子は、大変素直で反抗もせず育てやすい」と安心している親もあるようです。しかし、子どもが成長する過程においては、親からの自立するために、この反抗期の道を通ることは必要ではないかと思います。今日、親から自立しないで親に依存して親離れをしないで成長していく青年が多いとも言われています。これでは真の大人とはいえないのではないでしょうか。
 思春期には、親に反抗し、言うことを聞かなくなるとことが起こります。そのことによって、親は今までの育て方を振り返り親子関係の変革を迫られてきます。このような時にも、悩むことなく子どもとの対話に心がけていきたいものです。
「機会を十分に生かして用いなさい。」 エペソ 5章16節 グッドニュース2007年11月号「母と子の相談室」より