友だちづくりを考える(10)

 先月は、子どもによい友だち関係を作るには、子どもたちに心がふれあう、豊かな体験をさせることが必要であることを述べました。その一つとして、自然とのふれあいについて述べました。
 この頃の子どもたちに関わる事件を見たり、聞いたりするたびに、心を痛めるのはわたしだけではないと思います。多くの子どもたちは、友達同士、心が触れ合うことのない毎日を送っているようです。友達が競争相手であったり、形だけの友だちであったりします。それですから、何か事が起これば憎みあうような状況に陥ります。
 わたしは72歳ですが、小学校時代に遊んだ友達と会う事がとても楽しみです。田舎に帰ると良く会いに行きます。友達が病にかかると気になります。小学校時代のクラス会はできないのですが、中学校時代のクラス会にはできる限り行くようにします。一昨年には、中学1年生の時に分かれた友達と57年ぶりに会い、懐かしい時を持ちもちました。その友達と会いたくてたまらなかったのですが、住所が分からず、会う事ができませんでした。
 このような友達関係を作ることが、今日大切なことです。今の子どもたちが大人になっても老人になっても、幼い時を懐かしむことができれば、人生は本当に楽しいものです。
 そのためには、心が触れ合う、響き会う豊か体験をさせる事が大切です。わたしが子どもだったころは、自然が何よりの友達との遊び場でした。そこで様々な友達と思いっきり遊びました。
 子どもたちは、本来エネルギーが溢れています。それを押し込んでいたのでは、ストレスがたまる一方です。
 今日、子どもたちはストレスがたまる一方の生活をしているのではではないでしょうか。塾の学習に追われ、親からは勉強、勉強とせきたてられ、子どもはストレスをためるばかりの生活を送っています。
 このような社会であるからこそ、ストレスを緩和させていく知恵を学ばなければなりません。思いっきり体験はストレスを緩和させる大切なものです。本の好きな子どもには思いっきり本を読ませること、友達や家族と思いっきり遊ぶことをさせたいものです。
「すべてあなたの手のなしうる事は、力をつくしてなせ。」伝道の書9章10節(口語訳) グッドニュース2007年4月号「母と子の相談室」より