友だちづくりを考える(9)

 先月は、子どもによい友だち関係を作るには、親自身が子どもたちにあたたかい言葉がけをしていくことが何より大切であることを述べました。今月は子どもたちに豊かな体験をさせることが必要であることを述べていきたいと思います。
 いじめの問題で多くの子どもたちが苦しんでいます。様々なこのようなニュースを耳にするたびに悲しい思いをもつのはわたしだけではないと思います。
 いじめをしていくほうが悪いのは当然です。しかし、彼らにも「僕は、なぜいじめてしまうのだろうか」と苦しんでいるのではないでしょうか。彼はひょっとしていじめをせざるを得ない状況の中におかれているのではないでしょうか。
 今日の子どもの状況を見てみますと、心が触れ合う、響きあう豊かな体験がないようです。学校から帰れば塾に行き、学校の運動場で、近所の公園で近所の友だちを遊ぶような姿と見ることが本当に少なくなりました。何かに束縛されており、友だちのよさを見ることもなく、ただ競争相手として、弱い者ととして友だちを見ることしかできない状況におかれています。
 相互に心が触れ合い、響き合える豊かな体験を充実させることこそ優しさを身につけることになります。
 まず一つは野外での遊びを活発にさせることです。わたしが現職の時に、ある秋の日、山に子どもを連れ出し、落ち葉を集めてその上に寝転がせました。中には落ち葉の中に入り込む子もいました。「気持ちがいい」と誰もが言います。自然のふところに抱かれた子どもたちは自然に優しくなります。
 生きているものは、生きているものとの触れ合う中で心が安定します。それは生きていることが実感できるからです。野外にはさまざまな生き物がいます。草木に触れることができます。野原に出ればいろいろな鳥や虫を見つけることができます。草の中に寝転がって空の雲に語りかけることができます。草のあたたかさを感じながら大知の鼓動を感じ取ることもできます。外に出れば、様々な生きているものとふれあいが深められます。そのようなことを家族一緒に、友だちと一緒にやってみたいものです。自然に優しさが身につきます。
「神は、‥その種類にしたがって地のすべての造られた。神はそれを見て、それをよしとされた。」創世記1章25節 グッドニュース2007年3月号「母と子の相談室」より