友だちづくりを考える(6)

 先月は、子どもによい友だち関係を作るには、子どもたちの心に愛を育てていくことが大切であることを述べました。そして、そのために親の子どもに対する温もりが大切であり、子どもの味方になってなって対応することが大切であるとも述べました。今月は日々の子どもと接する日常の生活から考えてみたいと思います。
 子どもたちが、友だちに対して暖かさを示すには何よりも笑顔です。
 親は、なかなか自分の子どもに対して笑顔で接することはできにくい場合が多いです。日々子どもと接している時に、親の思いと異なった姿を見せることが少なくはありません。だから、自然に厳しい顔になってしまいがちです。子どもがテストを持って帰れば、少しでも良い点を親は望みます。そのことは当然なことです。
 わたしが現職の時、どんなに成績が悪いテストでも、きちんとたたみ、連絡帳に挟み込む子がいました。その子はどんなに○の数が少なくても、家に帰るとそのテストを親に見せます。親は、そのテストを見て、決して叱ることはしません。それだけでなく、「○が三つもあるね。良かったね」と言ってまず心からほめるのです。わたしは、テストでは○を大きく書くことに努めていました。反対に×は小さく書くように心がけていました。ところが多くの親は、わざわざ小さく書いた×を探し出し、「あんたは×が三つもあるじゃないの」と言って、○を認めることをしません。そういう子に限って、悪いテストをぐちゃぐちゃにして机の中に押し込んでしまっていました。
 親は、子どもの姿を丸ごと受け入れていくということが大切なのです。それが子どもを良くしていくだけでなく、良い友だち関係を作ることになるのです。
 多くの親は、子どもの良くないところを良くしていくには、甘い表情をするのではなく、厳しく叱ることが大切であると考えています。このような親の態度では子どもは良い友達関係は作ることができません。子どもは親に叱られるようなことをした時は、子ども自身はそのことは良く分かっています。その時に、親が笑顔で語りかけてくれれば、子どもはほっとします。子ども自ら反省するようになります。
「あなたの愛をぶどう酒にまさってほめたたえ、真心からあなたを愛しています」雅歌1章4節 グッドニュース2006年12月号「母と子の相談室」より