進路や人生について一緒に考える

 中学生の時期には、自分の将来に向かって理想を求める傾向が強くなってきますが、その理想は必ずしも自分の置かれている現実について十分な認識に立っているものではありません。
 すなわち、自分を過大(過小)視したり、安易に現実に妥協したり、集団の中に埋没して自分を失ったり、時には絶望したりしがちです。また、親の要求にそうようにしなければとは思っていますが、それに応えられない自分に嫌気が差し、投げやりになってしまう場合もあります。
 とにかく、子どもは3年間という短期間で、自分のこれからの進路や人生について結論を出さなければならない時期です。
 人間として、まだ未成熟であるのに、悩みばかり多く、苦しみもがいている子も少なくはありません。
 このような時期であるからこそ、子どもから相談を受けた時、「好きにしなさい」とか、「今、忙しいから後で」とか、「先生と相談して」とか、「うん、うん」と聞いているだけであってはなりません。
 せっかく子どもは親との対話を願って話し掛けてきました。このチャンスを逃すべきではありません。
 「おまえと同じ中学生のころ、お父さん(お母さん)もこんなことで悩んだことがあるよ」親の体験を話し、親子でじっくりと話し合う時をもつことが何よりも大切なことです。ところが、この時とばかり、親の威厳を発揮して、一方的に自分の考えを述べるのではなく、次の三つのことは気をつけていきながら話し合うことが重要です。
? 親は、子どもの思いを認める。そうすることによって、子どもは自らを好きになります。
? 親は、子どもを激励する。そうすることによって、子どもは自信を持ちます。
? 親は、子どもに寛大な気持ちをもって接する。そうすることによって、忍耐強く生きることを学びます。
といったことを念頭におきながら、子どもの顔を見て、言葉を丁寧に発し、話し合うことが大切です。また、自分自身の経験や、よりよい社会づくりに汗を流して働いている人々を通して人間としてのあり方生き方を率直に語り合いたいものです。
「同じ愛の心を持ち、心を合わせ、志を一つにしてください。」 ピリピ書2章2節 グッドニュース2002年8月号「母と子の相談室」より