入学式の話 3つのお願い

 入学おめでとうございます。
 今日から、みなさんは唐櫃小学校の1年生です。
 皆さんは、この3月まで日本の幼稚園や保育園で多くの先生に教えていただいてこの唐櫃小学校に入学いたしました。ところが、お隣りの国韓国からこの唐櫃小学校に入学したお友達がいます。ちょうど1週間前に日本にやって来たので、まだ日本の言葉がわかりません。そのお友達にも入学おめでとうございますと挨拶をします。
 ベイパクル チュッカハムニダ
 (カムサハムニダ)ありがとうございます。
 きょうは、皆さんの入学をお祝いして、幼稚園や保育所の園長先生や所長先生、また、先生方が沢山来てくださっています。また、皆さんのことをいろいろとお世話をしてくださる、この唐櫃の地域の方もたくさん来てくださっています。うれしいことですね。
 さて、みなさんがこの唐櫃小学校に入学するにあたって、3つだけお願いをします。
 一つは、お友達大好きな子になってくださいということです。
 先生が1年生の先生だったとき、大ちゃんと男の子がいました。ある時、一人の男の子を先生が叱っていました。ブランコを一人じめにして、友達と代わってやらなかったので、先生は叱っていたのです。すると、大ちゃんが先生の側にやってきました。そして、先生の手を引っ張るのです。先生は「大ちゃん何」と聞いたら、大ちゃんは「先生、ぼくの友達そんなに叱ったらだめ。ぼくがちゃんと教えてあげるから。もう先生叱らなくていい。」と言って、先生に叱られている子を外に連れていきました。しばらくして、外に行ったら、大ちゃんや他のみんなと仲よく遊んでいるのです。皆さんも、この大ちゃんのように友達大好きな子になってください。
 二つ目は、先生大好きな子になってくださいということです。
 先生は、今日までの間、朝早くから、夕方遅くまで、皆さんが入学するための準備をしていてくださっておられました。皆さんがだれも、優しいいい子になるように、一生懸命に教えてくださいます。1年生の先生だけでなく、唐櫃小学校の先生は、みなさんがやさしいいい子になれば、うれしくて仕方がないのです。
 先生が1年生に教えていただいた先生のことは、50年以上もたったいまでも忘れていません。今年もその先生から年賀状がきました。大好きになった先生は、大人になっても忘れることがありません。
 3つ目は、学校大好きな子になってくださいということです。
 学校は、広い運動場があります。いろいろな動物がいます。教室がいっぱいあります。友達がいっぱいいます。やさしいお兄さんやお姉さんもいます。お花がいっぱい咲いています。運動会、音楽会、遠足、楽しいことがいっぱいあります。楽しい勉強もします。
 唐櫃小学校の1年生は、みんな、友達大好き、先生大好き、学校大好きな子になってください。
 保護者の皆様、今日はお子様のご入学おめでとうございます。心よりお喜び申し上げます。本日より、6年間お子様をお預かりして、本校の教育目標である「心豊かにたくましく生きる子」を育てるために全力を尽くしたいと願っています。
 一つだけお願いいたしたと思います。それは、「行ってらっしゃい」と言うより先に「困っている子がいたら、助けてあげなさいね。」と行って送りだしてください。きっとお子さんが成長したときに、その意味が分かるようになります。
 それでは、1年生の皆さん、明日からは、近所のお兄さんや、お姉さんと一緒に元気よく学校に来てきださい。
 これで先生のお話を終わります。1994年4月11日