子どもの成長の場として
子どもにとって家庭のもっとも大切な機能は「成長とやすらぎの場」です。
幼児期の子どもは、あたたかい愛情に育まれ、自立を目指して育てていかなければなりません。しかし、小学生期になると、家族の一員として自分も役立とう、役立っているという意欲と自覚をもたせるように育てていかなければなりません。そうすることによって子どもは、家族との生活の場で心豊かに生きていくことができるのです。
そのためには、何よりも「自分のことは、自分できちんとできる」子どもを育てるようにしていかなければなりません。
わたしが一年生を担任したとき、入学説明会でお母さん方に次の五つのことをお願いいたしました。
その第一は「朝、一人で目を覚まし飛び起きる子どもに」ということです。そのためには、就寝時間、起床時間を決めて実行しなければなりません。
第二は「自分の着ていたパジャマやふとんを手際よく片付ける子に」ということです。このことによって自分で後始末をきちんとできる子になってほしいのです。
第三は「靴をそろえて脱ぐ子に」ということです。玄関の履物を子どもにいつもそろえさせればけじめをつける節度が身につきます。
第四は「ハイと大きな声ではっきりと返事をする子に」このつみ重ねより素直で責任感の強い子に育ちます。
第五は「おはようと朝のあいさつをする子に」ということです。心をこめて自分から先にあいさつをするのです。そうすることによって、その日一日を気持ちよくすごせるようになります。
もちろん校長になったときにも一年生に入学してくるお母さん方に話をしました。
ところが、今日このようなことに力を入れている家庭がどのくらいあるでしょうか。子どもの様子をみてみると情けないです。
自分のことは自分できちんとできるようにさせることは家庭の一番大切なことです。これが子どもにできない理由は、親自身にあるのではないでしょうか。
親自身が、まず、この五つのことが完全にできたとき、いい親子関係ができるようになるのではないでしょうか。
「わたしはあなたがたに模範を示したのです」ヨハネの福音書13章15節 2002年4月号グッドニュース「母と子の相談室」より