家でも仕事をあたえよう

 
最近の子育ての中で、一番の問題なのは、子ども仕事を与えないで、元気で遊んでいればよい、勉強さえしていればよいという傾向をもつ親がいることです。
 ところが、「生きる楽しさ」の伴わない遊びや勉強では、本当の力はつきません。
 「生きる楽しさ」というのは、子どもが回りの人たちの役に立つ働きをし、その人たちから喜びや感謝が返されたときにできる思いのことです。子どもに「生きる楽しさ」を与えるために、小学生の子どもには、家の中で何か仕事を与えることが大切です。
 ところが、親の仕事の与え方は「あれをしなさい。これをしなさい」という形で押し付けています。そうすると子どもは仕事嫌いになって、働くのを嫌い、家の仕事は手伝わない、勉強もしない、ということになっていきます。
 仕事というものは、命じてやらせものではなく、仕事に誘い込み、働くことを楽しくしてやらなくてはいけません。
 そのためには、まず「○○ちゃん、力貸して、助けて、知恵を貸して、教えて」という形で謙虚に頼むことです。すると助けてと頼まれていやだという子どもはいませんから、必ず手伝ってくれるものです。
 しかし、子どものことですから、下手で、大人のようにうまくいきません。そのときに「もっと上手に、もっと早く」と言ってしまえばおしまいです。あとで直さなくてはいけないと分かっていても「ありがとう。助かったわ。うれしいわ。また助けてね」と感謝とお礼を言います。すると子どもは、親の役に立てたという満足感が生まれ、また助けてあげたいと思うようになります。これを繰り返していると、本当にそのことが上手にやれるようになります。
 そのような中で、「勉強の時間まで取って悪かったね。大丈夫」とすまながると「うん、大丈夫。やれるよ」勉強のほうにも努力するものです。
 私の教え子のお母さんは「トイレの掃除をすると心がやさしくなるのよ」といっていつも掃除をしている方がおられました。その子は学校でも一生懸命にトイレの掃除をしてくれました。
 お母さんの生き方が子どもにいい財産を与えています。
「イエスは言われた『あなたも行って同じようにしなさい』」ルカ10章37節 2002年2月号グッドニュース「母と子の相談室より」