親の激励の中で子どもは育つ

最近、児童虐待のニュースを多く耳にします。その虐待の対象になっている子どもがまだ、あどけない乳幼児であり、よけいに心が痛みます。
 なぜ、あんなに小さくかわいい子どもが虐待の対象になるのでしょうか。虐待をしている母親や父親の話の多くに、子どもが言うことを聞かない、何度言っても分からないなど、乳幼児期の子どもならば当たり前と思われる理由があげられています。
 子どもが一つのことを身につけるまでには、何度も何度も体験して、だんだん上手になるものです。親から言われたといって、すぐにできるようになるのではありません。少しずつじょうずになる過程で親がほめてあげたり激励してあげたりして、だんだんできるようになるのです。子どものその過程を大切にして、子どもが自分でできるようになるのを待ってあげることが大切なのです。しつけには、あせりは禁物です。
 しかし、「待つ」と「手抜き」とを混同してはいけません。
 「幼稚園の年少組(三歳児)におむつをしてくる子どもが多い」というはなしを聞きました。ある母親は「無理におむつをとらなくてもいいと聞いたことがあったから」と答えたそうです。親が自分に都合のよいように考え、何も努力しなくて子どもは成長しません。親自身が楽だからといつまでもおむつをさせているのでは、幼稚園に入園してからの子どもはかわいそうです。
 子どもへのしつけは、親があせっても、手を抜いてもだめです。ただ、言えることは子どもをしつけることは、無理強いして教え込むことではないのです。とくに基本的生活習慣を身につける年齢の子どもには、言葉でいってもだめで、親自身が自分で態度に示すことが必要です。三歳までの子どもは周りの大人のすることを模倣する時期です。
 子どものこうしてほしいと思うことは、あせって無理強いせず、まず親が自分自身でお手本を示した上で、子どもに伝えるのです。
「あなたも行って同じようにしなさい。」 ルカ10章37節 2001年11月号グッドニュース「母と子の相談室」より