子どもの反抗を受け入れる

 
幼児期の子どもは成長するに従って「イヤ」と言ったり「自分でする」と言い張るようになったりします。これは大変喜ばしいことです。このような時期を一般に反抗期と呼ばれています。しかし、子どもは大人に反抗しようとか攻撃しようとする気持ちは全くないのです。周りの大人がいろいろと手をやくという意味で「反抗」という言葉が使われているにすぎません。私たちはこのような時期を「成熟期」とよんでいます。
 子どもがパンにジャムを塗るのが好きで、いつもしてもらう母親の様子をまねて自分でしはじめます。しかし、はじめての試みなので上手にできません。パンからジャムがこぼれ落ちテーブルの上はジャムだらけです。見かねて母親がしてあげようとすると、泣き出してしまい、母親をたたきはじめます。母親はよかれと思って手を出した結果がこのような始末。子どもにすれば「ぼくがジャムをぬっているのに」と言い張っているのです。
 この時期の子どもは「自分がする」ことに一番の興味をもちます。それを通して子どもの自尊心が育つのです。「ぼくだってできる」という思いを子どもはもちたいのです。このような子どもの主体性の発揮に対して親が一方的に奪い去ると、子どもは自分のしたいことをしてはいけないことだと感じてしまい、指示待ちの受動的な子どもとなってしまうおそれがあります。
 このような時期、母親は一歩引き下がってみるということが大切なのです。
 子どもがパンにジャムをぬっているとき、パンの下に少し大きめのお皿をおいてあげましょう。ジャムのビンをパンのそばにおいてあげましょう。ジャムはこぼれてもいいのです。うまくできなくてもいいのです。子ども自身がやり遂げたことをいっぱいほめてあげればいいのです。そうして、うまくジャムをぬるコツを教えてあげればいいのです。「自分でした」ということに満足した子どもは素直に大好きな母親の言うことを聞きます。
 自然と子育てが楽しくなります。
「心に喜びがあれば顔色をよくする。」 箴言15章13節 グッドニュース2001年9月号「母と子の相談室より」