教育講演会 「お母さん、あなたこそ子らの生きる力です 1

 今日から何回かに分けて、15年ほど前にある教会で母の日に語った講演の骨子を記載します。連続してお読みください。

 一年生を担任していたある朝、いつも明るくにこやかな笑顔で教室にやってくるゆかりちゃん、その日の朝は、涙を流しながら登校してきました。そして、私によりかかり大声をあげて泣き出しました。
「お母ちゃんがいなくなった。」
くわしく話を聞いてみると、昨晩お父さんとお母さんが喧嘩をしお母さんが家を出たというのです。
 その日のゆかりちゃんは、いつものゆかりちゃんではなく、涙を出してばかりゆかりちゃんでした。
 それからのゆかりちゃんは、全く元気がなく、こちらがいくら励ましても涙ぐむばかりでした。
 一週間ほど経ったある朝、
「先生、お母ちゃん帰って来た。」
いつもの元気で明るい声で、わたしに飛びつきました。いつものゆかりちゃんにもどりました。お母さんが家に帰ってきたのです。
 いくら、お父さんやおばあさんが慰めても駄目でした。もちろんわたしが慰めてもだめでした。しかし、お母さんが家に帰ってきた時、笑顔が満ちあふれていました。元気が戻りました。

 子どもにとって、母親はなくてはならない存在なのです。
 なぜ、子どもにとって母親は必要なのでしょうか。様々な事例を通して考えてみます。
 わたしの教えてきた子どもたちの実例をもとにして話を勧めていきます。ここに登場する子どもたちはもうすでに父親、母親に安っています。