朝会の話 31 冬の小鳥たち

 おはようございます。
 私の子ども時の話です。秋の終り、私はお母さんと一緒に田舎道を歩いていました。私は、あちこちの柿の木に少しおかしいことに気がついたのです。それは、どの柿の木も上の方に1個、下の手の届く所に1個、柿の実をとらずに残しているのです。そこで、私はお母さんに
「お母さん、どうしてどの柿の木にも上の方に1個、下の方に1個、残されているの。」
と聞きました。すると、お母さんは
「あれはね、昔からだけれど、上の方の柿の実は鳥たちのために、下の方は旅人たちのために残されてあるのよ。」
と教えてくださいました。
 上の方の実は、冬になり鳥たちの食べ物が少なくなったら、鳥たちがついばむように残しておくのです。そして、下の方の実は、旅人がお腹がすいた時に少しでも足しになるように残しておくのです。昔から、鳥たちや旅人たちに対する温かいおもいやりの心を示しているのですね。
 冬になると、小鳥たちの食べ物が少なくなります。でも、小鳥たちは飢え死にさせないために、冬に実をつける木々があります。それは、不思議なことに、小鳥たちによく目立つ赤い実なのです。
 学校の校庭のあちこちにも赤い実をつけている木々があります。アオキ、ナンテンウメモドキマンリョウ、センリョウの木々がそうです。みんな赤い実をつけています。
 また、ツバキ、ビワはこの寒い時に花を咲かせます。春の暖かい時であれば、チョウがやってきますが、チョウなどがいない今は、鳥たちがやってきて、蜜や花粉などが鳥たちの餌になっているのです。
 また、こんな風景を見たことがあると思いますが、庭の枯れたような枝に、みかんを半分に切ってさしている風景です。これは、私たち人間の鳥たちに対するやさしい思いやり心ですね。
 13日の土曜日に、9月に作った巣箱を取り付けるために唐櫃の山に行きました。少し寒かったせいか、集まる人たちは少なかったですが、とても楽しい時でした。皆さんが取り付けた巣箱に小鳥たちがやってきて雛をかえすといいですね。
 今日は冬の小鳥たちのお話でした。1993年2月15日