朝会の話17 もうすぐ運動会

 おはようございます。
 こんどの日曜日は秋の運動会です。皆さんは毎日練習を一生懸命にしていますね。この後にも全校練習がありますね。しっかり頑張ってください。
 運動会のたびに私が教えていた6年生の一人の男の子を思い出します。
 その子は学級の中で体が一番大きく、6年生の最後の演技「組体操」ではどんなものでも一番土台なのです。運動会の練習の時は足は痛いし、背中にはたくさんの友達が乗るので痛くてたまりません。でも、痛いのを我慢して一生懸命練習をしています。
 その子高橋君は練習の時にこんなことを日記に書いてくれました。「毎日の組体操の練習、つらくてたまりません。足は石に当たり痛 いし、背中には友達が乗るので痛くてたまりません。特に辛いのはピラミットと三段タワーです。
 一番上になる人は楽でいいです。僕も一番上になって、みんなにかっこいいところを見てもらいたいです。でも大きいから無理です。」
 私は、高橋君に
「高橋君のような下になる人がいないと、高いピラミットもタワーもできません。土台でしっかりとがまんしてくれているから、立派なものができるのです。人が見えない所で頑張ること、このことが一番美しいことなのです。」
と話しました。
 運動会の一番最後は6年生の組体操でした。6年生の人たちはとてもよく頑張り、素晴らしい演技を見せてくれました。運動会を見に来ていた人はすべて拍手してくれました。先生は涙が出そうになりました。高橋君はじっと下を向いたままでした。
 その拍手は、一番大切な土台の役目をしてくれた人への拍手に聞こえました。
 高橋君のその日の日記に
「先生、今日は痛くなかった。拍手が聞こえたとき、涙がでた。みんなして、やったね、やったねと言った。先生よかったね。」
 高橋君たちのような土台の人の頑張りは多くの人には見えません。でも、このように、見えない所で頑張ること、このことは一番大切なことです。
 後1週間、運動会の練習が続きます。運動会の時に立派な演技を見せようとするならば、それまでの練習を力いっぱい頑張らなければなりません。
 高橋君は先生にそのことを教えてくれました。
 今日は「もうすぐ運動会」というお話でした。1992年9月21日