乱暴な子

 「二年生の男の子ですが、家では落ち着きなく、姉や妹に乱暴をして困ります。また、学校でも友達との争いが多く、先生からも注意をよく受けます。このような子をどのように指導していけばよろしいか。」
 このような相談をよく受けます。子どもやお母さんの話をよく聞けば、この原因はどうもお母さんにあるようです。
 子どもに「なぜ友達に乱暴をするの」と聞いてみると「ぼくが、乱暴だからみんな遊んでくれないの。だから、いたずらばかりしてしまうの」と言います。また、「家ではなぜ乱暴をするの」と聞いてみると「ぼくが、家中で一番多く叱られるの。なぜなら、一番嫌われているからなの。だから、すぐにいたずらをしてしまうの」と言います。
 また、お母さんに話を聞いてみると「あの子を憎んだり嫌っているのではありません。あの子は家でただ一人の男の子で、私にとっては一番かわいいのです。ですから、かわいいから余計に叱るのです」と言われます。
 このお母さんの気持ちはよく分かります。ですが、ここに大きな問題があります。二年生の子に、かわいいから叱られるのだということが本当に分かるでしょうか。この子にとっては、ぼくばかりが叱られているとしか思われないのです。
 お母さんにしてみれば、いい子にしたいという気持ちがいっぱいで、この子の悪いところしか見えないので、叱ってしまうのです。それで子どもは乱暴になってしまうのです。
 ですから、まず、第一に子どもの悪いところには目をつむり、子どもの良い点だけを見つめ、ほめてあげてほしいのです。そして、自分はいい子であることを子ども自身が分かるようにさせてほしいのです。
 二つ目には、子ども自身がお母さんから愛されているということを確信させてください。そのためには、いろいろな方法がありますが、子どもが学校から帰ってきたら、抱きかかえてあげてください。小学生にもなってと思われるかも知れませんが、子どもにとって、お母さんの腕の中が何よりも温かい愛を感じさせるところなのです。
 イエスは、ひとりの幼な子をとりあげて、彼らのまん中に立たせ、それを抱いて言われた。(マルコによる福音書九章三六節)
と聖書に書いてあります。イエス様に抱かれた幼子の気持ちはきっとお分かりになると思います。