朝会の話9 毎日4万人の子供たちが死んでいます

 おはようございます。
 皆さんは注射をするのが怖いですか。1年生の子は、入学してすぐにツベルクリンの注射をしましたね。「こわいこわい」と言って泣いた子はいませんでしたか。
 先生が1年生を担任したときに、注射がとても嫌いな子がいました。1年生になって初めて注射をした時に、泣いてばかりいました。保健室に入ろうとしません。中に入っても机にしがみつき、
「校長先生がどんなに言っても、私絶対に注射しやへん」
と言って泣き叫んだ子がいました。みなさんの中にはそんな子はいませんね。
 でも、このような注射は、私たちがひどい病気にならないように、かかっても死んだりしないようにするのです。
 しかし、世界をみると、注射ができなくてひどい病気にかかり死んでいく、みなさんと同じような子供たちがいるのです。なんと、毎日4万人の子供たちが、ひどい病気にかかり死んでいっているのです。注射をすれば死ぬことがなかったのにね。
 それだけではありません。毎日のごはんが食べられず、おなかが空いて死んでいく子供たちも世界にはたくさんいるのです。
 また、学校に行って勉強がしたいのに、学校に行けない子供たちもいるのです。
 このような子供たちのために、大きな働きをしているのがユニセフなのです。ユニセフは世界中の子供たちが、幸せで、元気で、平和に過ごせるように努力しています。
 今から、45年前の日本はちょうど今、話をした国のような生活をしていました。食べるものがなく飢え死にする子供、病気にかかっても薬がなく死んでいく子供、住む家がなく学校にも行けず、駅の構内でねそべっている子供、栄養失調で目ばかり大きく、体はガリガリの子どもたちであふれていました。
 皆さんはアニメーションで「火垂るの墓」を見た人もいると思います。ちょうどそのような日本の国の様子でした。
 その時に、大きな働きをしてくれたのが、ユニセユでした。この働きによって、先生も助かりました。先生だけではなく、その頃子どもだった人はみんな助かったのです。
 先生が初めて先生になった頃でした。
 給食で牛乳があったのです。しかし、今ごろのように本当の牛乳ではなかったのです。ユニセフから送ってきた脱脂粉乳でした。今のようにおいしくはなかったのですが、みんな飲んでいました。でもたくさん飲めなかったのです。先生のクラスに、夜になると目が見えなくなる子がいました。他のクラスにもいたのですが、その子は栄養が足らないので、夜目が見えなくなってしまうのです。ですから、クラスのみんなはかわいそうに思って、自分たちの飲む牛乳を少なくして夜目の見えない子に飲ませてあげたのです。そのお陰でその子は夜にも目が見えるようになったのです。
 今から思うと、このユニセフの働きがなかったら、今の日本はどうなっていたか分かりません。でも、ユニセフの働きで今日のように世界で一番豊かな国になることができたのです。
 このユニセフの働きを助けるために、私たちも協力いたしましょう。
 今日そのお知らせのお手紙を先生からいただくと思います。また、明日から、職員室の前に募金箱を置きます。
1日お小遣いを節約したり、おやつを我慢したりして、この働きに協力しましょう。この一人一人の小さな働きが集まって大きな働きになるのです。そして、世界中の子供たちが平和な幸せな生活ができるようにしたいですね。
 今日は、ユニセフの働きに協力しようという話でした。1992年6月14日