朝会の話４ 春の運動会はじめの話 こいのぼりのように

　
　青い空、みどりの山々　このような空、山々に囲まれた５月は１年中で一番美しい月だといわれています。ほんとうに気持ちがいいですね。
　このような空にこいのぼりがおよいでいる姿はとても美しいです。
　きょうはみなさんが楽しみにしている春の運動会です。たくさんのお父さんお母さんや地域の方々を迎えて楽しい運動会ができるって素晴らしいことですね。
　みなさんはよく知っているように、鯉はとても元気がよいさかなといわれています。どんなに流れがきつい所でも上っていくといわれています。また、こんな昔から伝わる話があります。
　紀州、いまの和歌山県のあたりにいた殿様は、とても川の魚が好きでした。ある時、その殿様が
「おいしい川魚をとって参れ。」
　家来に言いました。そこで、家来はそこに住む魚取りの名人の漁師に、
「殿様が川魚を取って参れと仰せじゃ。おいしい魚を今日中に取ってこい。たくさん取ってこいよ。」
と伝えました。
　漁師は、さっそくりっぱな網を用意して、大きな川にでかけて行きました。網を打つ用意をしていると、この川の主と思われるほどの大きな鯉が出てきました。そして、漁師に言いました。
「漁師さん、ひとつお願いがあります。今から、小さな弱い魚を逃がそうと思います。どうか見逃してください。その代わりお礼は必ずします。」
そういって、鯉は川の中に潜っていきました。
「これは大変だ。早く魚を取らないと大変なことになる」と思い、急いで網を川に投げ入れました。ところが、小さな魚一匹も取れません。
「これはおかしい、そんなはずはない。さあ、もう一度やろう」と網を投げ入れました。でも、一回目と同じように、小さな魚一匹も取れません。このように何回もしましたが、同じことです。だんだんと日は西に傾いてきます。漁師さんは「ようし、これが最後じゃ」と、力をふりしぼって網を投げ入れました。そして、網を引くと、今までとはちがって、とても重たいのです。
「やった、これで殿様が喜ばれるぞ。」
大声を出しました。大きな鯉です。
「漁師さん、どうもありがとう。小さな弱い魚はみんな逃げました。私がお礼のしるしです。どうか、私をお殿様の所まで持っていってください。」
　川の主の鯉が、小さな弱い魚と逃がすために身代わりになったのです。このように、古くから、鯉は思いやりある魚と言われています。
　
　５月の空に泳ぐこいのぼり、「どうか、子供たちがこの鯉のように、元気で思いやるのある子になってほしい」という願いをこめて泳いでいると思います。
　
　今日は、みなさんのお父さんやお母さんたち、それに地域の人たちがたくさん来てくださいました。この人たちもこいのぼりのように
「どんなことにも負けない強い心を、思いやりのあるやさしい心を持った人になってほしい」
という願いをもって参加してくださいました。本当にありがたいですね。
　今日の一日、美しい５月の自然の中で楽しくおくりましょう。１９９２年５月２日

春の運動会終りの話
こいのぼりさんの話
　
　とても、いい天気で春の運動会が終りました。とても楽しかったですね。
　少し前に、先生はこいのぼりさんの所に聞きに行きました。するとこんなことを言ってくれました。
「校長先生、きょうはとてもいい天気だったね。よかったね。いっぱいよかったところがあったけれど３つだけ言うよ。
　一つ目は、唐櫃の子って強くてやさしい子でしょう。それはね、４年生の走りの時、３人の子がこけたでしょう。でも、３人ともすぐ起きて、それから力いっぱいにゴールまで走って行ったでしょう、一人の子なんか、すごいスピードを出して、前の子を追い抜いたね。すごかったよ。
　またね、５年生の走りの時、二人の女の子がこけたでしょう。先にこけた子も、後からこけた子もすぐに起き上がりまた走って行ったけれど。その後がよかったのよ。それはね、先にこけた子が、後からこけた子に、『ごめんね、ごめんね』とあやまったのよ。　自分がこけたため、後の子がつまずいてこけたから、あやまった　のね。あとからこけた子も『いいよ、いいよ』と言っていたよ。　
　二つ目は、みんなのお父さんやお母さん、それから地域の人たちってすごい力だったでしょ。綱引きのときみんな力をいっぱい出して引いていたでしょ。みんなも力いっぱい応援していたね。こんな力でみなさんを応援してくれているのよ。うれしいね。
　それから、三つ目は、最後の唐櫃音頭９００人もの人たちが一つの輪になって踊れてよかったね。初めてした人あったけれど、今年の盆踊りのときはとても楽しくできそうね。うれしいな。」
　こんなことを、話してくれました。先生もこいのぼりさんと同じことを思いました。とても楽しい春の運動会ができて、本当によかったね。
　最後に、お父さんお母さんそして地域の皆さま、ありがとうございました。お陰様でとてもいい運動会ができました。これからもどうかよろしくお願いいたします。
　これで、先生の話をおわります。