朝会の話1桜の木の話 1992年4月13日

 
 おはようございます。
 今日が1年生から6年生まで全部そろっての初めての朝会ですね。真ん中の1年生は、とてもうれしそうですね。
 今日の朝でした。西門から学校に入ってくると、どこからか
「校長先生、校長先生」
と呼ぶ声が聞こえました。先生が辺りを見回しましたが、誰もいません。でも、どこからともなく
「校長先生、校長先生」
と呼ぶ声が聞こえるのです。
先生は「先生を呼んでいるのは誰なの」
と聞きました。すると、
「僕ですよ。校長先生の側にいる桜の木ですよ。」と言ったのです。先生は
「桜のおじいさん、なんの用事なの。」
と聞くと、桜のおじいさんは、こんなことを言ってくれました。
「あのね、唐櫃小学校の6年生ってとても優しいでしょう。毎朝1 年生と手をつないでやってきてくれるでしょう。この前も、1年生の子がこけたんだよ。でも、6年生のお姉さんは、ちゃんとだきかかえて起こしてあげてたよ。校長先生そんなこと知らないでしょう。僕は大きいから遠い所までちゃんと見えるんだよ。」
「それから、春のなかよし遠足には、6年生が1年生と手をつないで行くんだよ。こんな優しい6年生のこと、知らなかったでしょう。」
「先生も、毎朝校門で6年生の人たちを見ているけれど、本当に優しいね。1年生の子はいつもうれしそうですね。」
すると、桜のおじいさんは
「こんなこともあったよ。去年のことだったかな。夜中に兎が、しくしく泣いていたんだよ。どうしたのと聞いたら、お腹が空いてたまらないの。きょうの当番の子が私たちにえさをやるのを忘れているの。だから、お腹が空いてたまらないの。僕はかわいそうだなと思ったけれど。でもね、翌日学校が休みだったけれど、朝早く当番の子がえさを持ってきてくれたのよ。僕は安心したんだよ。」
「よかたなあ。唐櫃の子って本当にやさしいね。先生とてもうれしいよ。」
「それからね、チューリップさんが、こんなことを言っていたよ。1年生の子が入学したから、うれしくてたまらないけど、もう少し
待っていてね。ちょっと寒いから、もう少し暖かくなれば、みんな咲くからね、って。」
「うん、わかったよ、今日朝会があるから言っておくからね。ありがとう。」
 先生は、桜のおじさんから、いっぱいうれしいことを教えてもらいました。とても、うれしかったです。それからね、桜のおじさんに年を聞こうと思っていたけれど、急いでいたので忘れてしまいました。また、機会があったら聞いておくね。
 今日は桜のおじいさんから聞いたお話でした。