お母さんは間違っていませんか6 子どもを抱きしめてみませんか

 
 わたしが1年生を担任しているときに、学級懇談会で「学校から子どもが家に帰ってきたときに、抱いて上げなさい」ということを話しました。多くのお母さんは「子どもが一年生になったのだから、そんなことをする必要がないのではないでしょうか」と言われました。わたしはあえて「子どもが一年生になったから、抱いてあげることが大切ですよ」と付け加えました。
 多くのお母さんは、もう大きくなったから子どもを抱くということをしなくても良いと思われるでしょう。しかし、子どもを抱くということは大切なことなのです。
 子どもは母親のふところで幸福感に浸ります。学校であったいやなことも、苦しかったことも忘れ、心の傷も癒されていくのです。
 このことを続けることによって、不登校の子どもが学校に行くことに喜びを見出しました。学校で落ち着きのなかった子どもが、落ち着いて勉強に励むようになりました。わたしは子どもを抱くという母親の愛情が、子どもの心を大きく成長させていくことであるという事実を見ました。乳児期はもちろん、幼児期になっても、小学生になってもしてほしいと思います。小学校高学年の子が、お母さんのふところに飛び込んできたら、しっかり受け止め抱きしめてあげてください。何を言うより先に。
 このごろのテレビのCMや新聞の広告に「抱きしめるという会話」の詩をよく聞いたり読んだりします。
 
 がんばれよ。ごめんよ。愛しているよそんな言葉を口にする代わりに
 父親たちは我が子を抱きしめたりする。
 父親は母親にはなれない。二の腕や胸板が、
 おっぱいよりえらくなるなんてことは永遠にないだろう。
 けれど、子どもたちがその温もりに包まれていた時間は、
 きっと子どもたちの未来にまで包み込んでいて
 やがて子どもたちを支える大切な心柱に一本になっていく。
 
 これは父親に対する大切な子育て論です。父親さえ子どもを抱きしめるという大切な子育てがあるのです。まして、母親はもっと強く抱きしめてもいいはずです。
 「イエスは子どもたちを抱き、彼らの上に手を置いて祝福された」
 マルコ10章16節