心の教育シリーズ9子どもに我慢を覚えさせよう

 
 少し前の総務庁の調査ですが、(小学生4年生以上)小学生の75%、中学生の84%の子どもたちが自分の腕時計持っています。また、小学生の40%、中学生の75%がラジカセまたはステレオを持っています。また、テレビゲームは小学生の71%、中学生の66%が持っています。今日はもっと多くの子どもたちが持っているものと思われます。そのいずれもが、特別に必要なものとは思われません。
 このような状態は、物の豊かさが実現し、子どもをめぐる物質的な環境も大きく変化した結果でしょう。
 しかし、ものが豊かになり、生活が便利になる一方で、それによって失われる大切なことについては、私たちはあまりにも無自覚であったのではないでしょうか。ものを安易に買い与えることによって、子どもは、欲しいものを得るために自ら努力することを忘れ、我慢することをも忘れて、かえって欲求を限りなく膨らませています。
 私は、小学4年生から高校卒業まで新聞配達をしていました。そして、大学に入学するときに、自分の働いたお金で腕時計を買いました。その腕時計を使えなくなるまで大事に使っていました。自分が苦労して買ったものを「大事にしよう」という思いがあったのです。この経験は、私自身に人生に大きな力となりました。
 フランスの思想家であるルソーは「子どもを不幸にする一番確実な方法、それはいつでも何でも手に入れられるようにしてやることだ」と言っています。
 今日の子どもの状況をみたときに、ルソーの言葉の真実性を感じます。
 周囲のことに惑わされずに、子どもに必要以上にたくさんのものや高価なものを買い与え過ぎることをしない、小遣いは多すぎず子どもに相応な金額にする、そして決まった額の小遣いのなかで自分の責任でやりくりさせるといったことから取り組んでいってほしいものです。「お金を使わず、心を使う」ことによって親と子の関係を深めてほしいものです。
 
「忍耐が練られた品性を生み出し、練られた品性が希望を生み出すと知ってい るからです。」ローマ人への手紙5章4節