心の教育シリーズ 4きちんと叱られた経験を


 今日、嘆かわしいことの一つに、子どもたちの規範意識の低下が顕著になっていることが挙げられます。
 成人に達していないのに、タバコを吸ったり、お酒・ビールなどを飲んだりしています。それが、小学生からはじまっています。恐ろしいことです。また、無断で他人の自転車乗ったり、「キセル」という行為をしたり、盗み、万引きなどの犯罪行為さえ「本人の自由でよい」と考えている子どもたちが多いです。
 学校のきまりを破るということなど悪いと思わない中学生も多いです。
 また、正直さ、誠実さ、まじめさなどの価値を軽視する傾向が見られるだけでなく、正直、誠実、まじめな者に対していじめる者さえ見られます。
 この問題の背景には、大人社会のモラル全体の低下という状況があります。不正やルール違反を許容してしまう風潮が子どもたちに大きな悪影響を及ぼしているのです。
 家庭では、このような風潮に流されずに、幼少の頃からしっかりとしつけを行ってほしいものです。今日の親は、子どもを甘やかす傾向がありますが、やってはいけないこと、間違った行いに対しては親が本気で叱り、しっかりと正すべきです。物心がつかないうちは根気強く注意をし、言葉が理解できるようになれば理由をはっきりと言って叱る。一貫性をもって叱る。父親・母親自身が日常生活の中で自らの姿をもって子どもに示してやるべきです。決して「押しつけ」であってはなりません。「押しつけ」は、親から子どもへの一方的なものですが「しつけ」は、親も子どもも同じように身につけなければならないことです。
 思春期以降、他人から叱られて必要以上に傷つく、あるいは「キレる」と形容されるように逆上してしまう場合が見られます。これは、幼い頃からきちんと叱られた経験がないことがその一因になっていると考えられます。
 幼い頃にきちんと叱られた経験は、成長した時に大きな力となって生きる道を示すこととなります。

「父たる者よ。子どもをおこらせないで、主の薫陶と訓戒とによって、彼らを育てなさい。」               エペソ人への手紙6章4節